「釣り人の命守る」水産庁が【釣り船の安全管理厳格化】検討 知床沈没事故を受けて

「釣り人の命守る」水産庁が【釣り船の安全管理厳格化】検討 知床沈没事故を受けて

水産庁が「遊漁船業の在り方に関する検討会」の中間とりまとめを発表。知床観光船沈没事故を受けて、釣り船管理体制の見直しが進んでいます。今後実施される可能性がある釣り船の安全対策についてまとめました。

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船釣り

目次

1.釣り船業者の安全管理強化

まずは釣り船の安全管理強化から。検討会では3つのポイントを挙げています。

「釣り人の命守る」水産庁が【釣り船の安全管理厳格化】検討 知床沈没事故を受けて相模湾に出来た大船団(提供:TSURINEWS編集部)

安全管理体制の見直し

釣り船の安全対策の要は、安全確保等の業務を行う遊漁船業務主任者であり、この遊漁船業務主任者の資質の向上が必要としました。具体的には、事故事例の学習や事故時を想定した安全管理等の講習・実務研修や、習熟度の確認などの取組みを想定しているようです。

業務規定の適切な運用

刻々と変化する気象・海象に応じて、事業者が適切に業務規程を運用していくためのサポート体制の構築が必要である。

事故発生時の対応

遊漁船業者が事故を引き起こした際に、事故の内容、原因等を都道府県に報告し、当該都道府県の指導監督に利用できるようにするとともに、遊漁船業者においても事故の原因分析を行うような仕組みが必要としています。

2.登録制度の厳格化

安全意識の低い釣り船業者の登録有効期間を短縮、また、再登録を拒否することを、管理者である都道府県ができるようにするとしています。さらに、事故発生時の報告の義務化も併せて検討されています。

3.釣り人の保護

釣り人への配慮については、4点が挙げられました。

「釣り人の命守る」水産庁が【釣り船の安全管理厳格化】検討 知床沈没事故を受けて釣り船に乗船する釣り人(提供:TSURINEWS編集部)

釣り人の利益保護の制度の改善

釣り人の利益を守るという視点て、損害賠償責任保険の加入額の見直しなどを検討しています。

安全確保等の情報の公表

釣り人の安全確保に関する情報を広く公開し、釣り人が安全面から釣り船を選択できるようにすることで、各釣り船事業者が自ら積極的に安全確保へ取り組むことを促すとしています。

利用者に対する安全に関する説明

釣り人の不注意等で思わぬ事故が発生する可能性もあるため、乗船時に、利用者に対し、遊漁船業務主任者から安全に関する事前の説明を行うなどして利用者に対して安全に関する注意を促すことを乗船時のプロセスとして位置付ける必要があるとしています。

安全性に関する普及啓発

釣り船事業者および利用者の双方に向けた、安全管理の普及啓発ができるよう、国や都道府県において一層の情報発信に努めていく必要があるとしています。

4.地域の取り組みの推進

遊漁船の団体の活性化を行い、零細な個人事業者の安全管理体制をサポートするセーフティネットとして機能させます。また、場所によって気象状況は大きく異なるため、地域ごとの条件を踏まえたルールを作成していくとしています。また、釣り船事業者のみではなく、行政や漁業(職漁)者等も加えた組織的な取り組みをすることが重要になるとも提言しました。

5.その他

国土交通省でも知床遊覧船事故対策検討委員会を設置し、旅客船の総合的な安全・安心対策について議論しているため、今後、一貫性のある対応が求められるとしています。

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