堤防際に浮いている魚の亡骸が意味すること 釣りは成立しづらい?

堤防際に浮いている魚の亡骸が意味すること 釣りは成立しづらい?

海で釣りをしていると、水面や堤防際に魚の死骸を見ることが多い。それも、およそ天敵もいなさそうな大型魚が、なぜ?と思うほど死んでプカーと浮いていたりする。釣りをしている側としては、憐れに思いつつ、不吉にも感じる。魚はなぜ、突然このように死ぬのだろう?

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)

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井上海生

フィールドは大阪近郊。ライトゲームメイン。華奢なアジングロッドで大物を獲ることにロマンを感じます。

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海で見かける魚の死骸

海で見かける魚の死骸には、いくつかの姿がある。水面で死んで腐っているものと、堤防で乾いて死んでいるものだ。後者はアングラーの無用な殺生ということもあるし、イワシやサバなどのベイトがフィッシュイーターに追い詰められて岸に飛び跳ねてそのまま死ぬこともある。

堤防際に浮いている魚の亡骸が意味すること 釣りは成立しづらい?優しく労わりつつリリース(提供:TSURINEWSライター井上海生)

また釣り人要因でいえば、リリースの不注意で魚を死なせてしまうことがある。チヌやシーバスなどがよくある例で、ただでさえ魚を弱らせてランディングし、不用意にドボンと海に返してしまうと、魚は失神してそのまま死んでしまうのだ。体力を削り取ってしまった個体は、きちんと水に着けてリリースするように心掛けよう。

それ以外の環境的要因で魚が死ぬのは、主に次の二つである。

プランクトン増殖による酸欠死

青潮、赤潮などプランクトン過多の海。夜の海では夜光虫が発生しているような状況。このような海では、増殖したプランクトンが優先的に水中の酸素を奪ってしまい、魚に酸素が足らずに酸欠してしまう。つまり酸欠死の状態だ。水中では食物連鎖の頂にある魚が、プランクトンという小さな存在に殺されてしまうのは、皮肉な話かもしれない。

堤防際に浮いている魚の亡骸が意味すること 釣りは成立しづらい?プランクトン過多による酸欠死(提供:TSURINEWSライター井上海生)

魚はエラ呼吸だが、このようなプランクトン過多の状況では水中からエラ呼吸が十分にできないので、水面に口を突き出して酸素を得ようとする。しかし、それでは口呼吸ができないので、実は余計に弱るらしい。

荒天後にも魚が死ぬ

自然環境要因による魚の死。もうひとつに、荒天後の死がある。雨天や、激しい吹き降りや台風の後には、少なからぬ数の魚が死ぬ。この死因には、いくつかのものが考えられる。

まずは、真水による影響だ。特に激しい量の雨が降った後は、海に真水が多くなる。真水は海水の上に乗り、海の塩分濃度をかえる。そのため、呼吸の際に同時に体内に取りこむ真水混じりの海水に浸透圧が合わない魚が、死んでしまう。

また荒天後には、プランクトンも盛んに活動する。増水によって海中に舞い上がった有機物やヘドロなどを分解しようとしてプランクトンが酸素を消費しながら増殖し、活動するために、やはり優先的に酸素を奪われた魚は酸欠死してしまうのだ。

その他、雨風でかき回された水中の泥がエラに詰まって死ぬなど諸説ある。ともあれ、荒天後に魚の死骸が多いのは、釣り人の気のせいではなく、ゆえあることなのだ。

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