東海道17番目の宿場町として知られる興津宿。身延道との分岐点で、昔から交通の要衝として発展してきた。歌川広重の「東海道五十三次」にも題材として用いられ、そこに描かれているのが興津川である。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版APC・藤崎信也)
興津川のアユ釣り
田代峠に源を発し、静岡県清水市清水区内を南流したのち、清水区興津東町で駿河湾へと流入する二級河川。清流として知られ、東日本でアユ釣りが早期解禁する河川のひとつで、今年は5月20日に解禁する。
同河川は、昨年9月の台風15号により川は壊滅。清地の浄水場に渡る橋や複数の吊り橋などが流されたほか、甚大な被害が周辺を襲った。そのため、川相は一変していることが考えられる。
情報によると、4月下旬の時点で復旧工事は続いており、その影響で川は濁っている。また、土砂の流入により上流部はかなり埋まっており、護岸の復旧工事も進められている。解禁当初は、上流部の釣果は臨み薄かもしれない。
中流域でも泥の被った場所も少なくないが、比較的石は残っている。下流域は台風の影響は少なく、工事さえ止まれば例年どおりの釣りになると思われる。
このような状況のため、詳細な釣り場紹介はできないが、例年の釣りについて述べておこう。
上流域
興津川は比較的穏やかな河川で、水深のある場所は淵などに限られる。荒瀬などはないが、瀬や早瀬、トロ、チャラ瀬とポイントは全川に点在。初期には上流部の浮流アユを狙い、盛期にはオトリサイズにまで成長した天然遡上アユを上・中流域で掛け、終期には遅れて遡上したアユを下流域に求める。これがここでのアユ釣りの基本だ。
上流域は大島橋、八幡、片瀬、西里、山彦橋、土村、大網と流れ下る。いずれも水深30~50cmの瀬とトロが交互する流れで、毎年解禁日に竿頭が出るのが、大島橋から土村まで。大網は吊り橋上下流が人気のポイントで、大石の点在する瀬が続く。
中流域
中流域は茂野島、和田島、高瀬、清地水源地前、清地吊り橋、宮島橋、漁協裏、ゴトロと続く。茂野島から和田島にかけてはアユ銀座と呼べる釣り場で、駐車スペースも十分。瀬とチャラ瀬、トロと流れが変化に富む。釣り人が多く大釣りすることは少ないが、堅調に釣れ続くことが多い。
高瀬は左岸から中河内川が流れ込む。和田島から続く流れは淵に落ち込んだあと、長く続く瀬、トロと続き、合流点上で瀬となり、合流点下は深瀬から出合淵へと流れ込む。比較的浅いポイントが多いが、時合いに当たれば2~3時間で50尾超の釣果もめずらしくない。
水源地前から清地吊り橋にかけては、道から少し離れているため釣り人が少なく、穴場的な釣り場。竿が入っていなければ、大釣りも可能だ。
一ノ瀬エン堤から漁協裏まではチャラ瀬が続き、その後は水深のある瀬と淵が交互し、小島中学校前まで続いている。この辺りは、大石が点在する瀬と斑盤底のトロ場が続く一級ポイントで、初期に釣果が出る。
下流域
下流域で有望なのが但沼大橋、九淵、立花橋、承元寺エン堤。但沼大橋上流は小河内川が左岸から流れ込み、岩盤底のトロと瀬が続き、橋下流は深瀬とトロが続く流れ。九淵は段々瀬や荒瀬があり、同川のなかでは荒々しい流れが続き、立花橋も同様に岩盤底の瀬とトロ、淵が続く。
承元寺エン堤上流はトロが続くが、エン堤下は浅いトロ瀬、チャラ瀬、トロと続く流れで、シーズンを通して数釣りが楽しめる。
今年の興津川は、今までの経験が当てにならない。釣り場選びをはじめ、オトリ店の情報収集と川見は必須。川相、石の色、アユの魚影を十分確認したうえで入川しよう。
<週刊つりニュース関東版APC・藤崎信也/TSURINEWS編>
興津川