アユのトモ釣りで最近注目されているのがアユルアー。生きたアユではなく、アユの形を模したルアーをオトリにする釣り方。そこでトモ釣り用ルアーの「テリトリーアタック」を開発した向島テックの坂田邦男さんに、アユルアーの利点や使い方を聞いた。
アユルアーの使用のメリット
アユルアーを使用する利点は、入漁券を持っていればオトリ店に寄らずにすぐ入川できるということ。また、漁協の管理がなく、天然遡上のアユを狙う釣り場など、オトリ店のない川でトモ釣りをしたいときの野アユ確保に有効だ。
トモ釣りビギナーにとって、生きたアユの取り扱いは神経を使う。とくに鼻カンを通すとき、しっかりとアユを握りすぎると弱ってしまうし、逆にそっと軽く握ると暴れたときに逃げられてしまうことも。
ベテランにとっては当たり前にできることが、ビギナーにとっては釣りをする前のひと仕事、という感じ。その点、ルアーは取り扱いが簡単だ。
また、生きたアユを使用するトモ釣りはオトリの泳がせかたやポイントへの誘導の仕方など、ベテランとビギナーでは経験の差が顕著に表れる。その点、ルアーは扱いが簡単なので、その差が出にくいといえる。
そのほか、耐久性が高いのも魅力のひとつ。釣行回数や使用ひん度にもよるが、5~10年は持つ。
アユルアーで狙うポイント
瀬やトロ場など狙うポイントはいろいろあるが、瀬がアユルアーを使用するのにもっとも適している。
ラインをゆるめた状態でルアーを操作し、狙うポイントまで運んだらラインを張って沈める。この際、ルアーをポイントに直接投げ入れるのはNG。アユが逃げてしまうからだ。
このあたりが、フィッシュイーターを狙うルアーと違う点。フィッシュイーター用のルアーは、目立たせることが重要。
使用の注意点
一方、オトリとして使用するアユルアーは野アユと泳ぐ周期を同様にすることがカギ。その理由は、アユは異物を嫌うから。アユルアーをポイントに直接投げ入れると、異物と認識されてしまうから控えたほうがいい。
一方、落ち込みで渦を巻いているような場所は、流れを受けて動きを演出するアユルアーには不向きなポイント。
仕掛けは、通常のトモ釣りで使用するものにする。野アユを1尾掛けたら、仕掛け交換することなくそのままオトリだけ替えて使用するため。ハリスはダブルテーパーがいい。水中で巻き込むような動きをするので掛かりがいい。
また、そもそもオトリとしての鮎ルアーの使用がNGな河川もある。必ず釣行前に管轄漁協に確認しよう。
背掛りがベスト
いいアユルアーは背掛かりすることが多い。「頭に掛かったのは事故で、追ってきたわけではない」と考えたい。たとえ釣れても、そのアユはオトリとしてはほとんど使えない。7~8割が背掛かりなら、いいルアーと言える。
購入する際の目安として、自分が見て「アユにそっくり」と思うものを選べばいい。