8月11日、和歌山県の水軒一文字へチヌ(クロダイ)の落とし込み釣りに出掛けた。夏らしくエサ取りの猛攻に悩まされたものの、本命のアタリは一際違う。朝マヅメに訪れたチャンスを逃さず、37cmのチヌを手中にした釣行をレポートする。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)
釣り場減ったチヌ落とし込み釣り
目印仕掛けを用いるチヌの落とし込み釣りは、平成の時代に大阪湾や名古屋港一帯を中心に一大ブームを巻き起こした。令和に入ると目印を使わないヘチ釣りも主流になったが、それ以前に沿岸部では立ち入り禁止区域が増加。
水深があり潮通しも良い、落とし込み釣りやヘチ釣りに適した釣り場は限られるようになった。そんな状況でも、いまだにこの釣法から離れられない釣り人の一人が筆者なのである。
水軒一文字でチヌ落とし込み釣行
6月から盛夏は落とし込み釣りの最盛期。水軒一文字へ渡す水軒渡船の釣果情報を見ると、常連によるチヌの数釣りが掲載されていた。
水軒渡船乗船場(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)これは私にとって吉報。8月11日の釣行を決めた。前夜に自宅を出発し、途中でエサ店3軒をはしごして岩カニを確保。
水軒一文字広域拡大一体図(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)深夜2時30分に水軒渡船の駐車場へ到着した。始発便の受付まで30分ほど仮眠するつもりでアラームをセットしたのだが、聞き逃すほど爆睡。船長から「もう出るで!」と起こされる大失態をやらかしてしまった。慌てて旧波止行きの乗船受付を済ませて始発便へ。
おかみさんの「いってらっしゃーい。良く釣れますように」という大きな明るい声に見送られ、約30人の釣り人を乗せた船は波止へ向かった。
少数派の旧波止へ渡る
水軒一文字では、地元で「平鯵(ひらあじ)」と呼ばれる30cm前後のアジを狙うカゴ釣りが人気。当日は新波止へ渡る釣り人が多く、私が向かった旧波止は少数派だった。落とし込み釣りは私一人。
水軒一文字旧波止の形状(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)他には夜明けまでタチウオを狙うルアーマン、タコエギで探り歩く釣り人、チヌやグレ(メジナ)狙いのフカセ釣り師といったところ。落とし込み釣りは夜明けからが本番なので、それまではタックルやエサの準備をボチボチと進める。
落とし込み釣りのタックル(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)
岩カニは暑さ対策が重要
落とし込み釣りでは、岩カニの活きの良さが生命線だ。私は岩カニを海水バケツで活かしておき、使う分だけエサ箱に小分けする。
しかし、真夏の炎天下では海水温がすぐに上昇してしまう。そこで海水バケツの下にバラ氷のパックを敷き、さらに冷凍ペットボトルを海水に漬けて水温上昇を抑えた。
カニはよく冷やす(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)当日のタックル
今回釣る旧波止の内側は海面との高低差がさほどなく、落とし込み釣りがしやすい。3.9mの落とし込み専用竿に、ストライプカラーの3号ラインを巻いた専用リールをセット。
ラインの先には市販の目印仕掛けを接続し、ハリスは硬めの1.7号を直結した。ハリは貫通力を重視して落とし込み用チヌ針3号。チモトにはガン玉2Bをかませた。
岸際ギリギリを攻める(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)朝マヅメに37cmチヌ浮上!
夜明けの5時ごろから釣りを開始した。当日の午前中は下げ潮で、時間が経つほど潮位が低くなる。つまり潮位の高い朝マヅメが勝負だ。歩きながら壁際へ岩カニを落とし込んでいく。
そして5時40分ごろ、波止のブロックの継ぎ目付近を壁際ギリギリにゆっくり落としていると、エサ取りとは明らかに違うアタリが出た。ここは勝負所。小さく鋭くアワセを入れるとヒット!
ロッドワークでやり取り
魚は強い引きで海中へ潜ろうとするが、竿に伝わる感触からロッドワークで十分に主導権を握れるサイズと判断した。波止際から魚を引き離して浮かせにかかる。過度に力を掛けなくても、超先調子の落とし込み専用竿が魚のパワーを吸収してくれる。
早朝にチヌがヒット(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)やがて海面に現れたのは、鮮やかな銀色の良型チヌ。最後の一暴れには一瞬動揺したものの、海面で空気を吸わせて勢いを止める。タモ入れも一発で成功し、37cmのチヌを手中にした。
チヌ37cm(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)エサ取りと本命のアタリは違う
当日は夏らしくエサ取りも多く、少々苛立ってくる。正体は定番のフグのほか、イソベラやガシラ(カサゴ)。この日のエサ取りは、「チョン」という感触を繰り返す、目印が横や斜めに走る、浅いタナで目印が浮き上がるように止まる、といった単純で雑なアタリが多かった。
岩カニの足だけを食いちぎったり、甲羅に歯形を残してかじったりするので、放置するのは悪手だ。
エサ取りも多い(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)本命は「一際違う」
一方、この日仕留めたチヌのアタリは一際違った。筆者の経験では、本命のアタリは大きく2種類ある。【「ギュン」と垂直方向へ強く引き込むアタリ】と、【目印が止まった後に「モゾッ」とした感触が伝わってくるアタリ】だ。
チヌが岩カニを口に入れて噛み潰すため、端を雑にかじるエサ取りとは捕食の仕方が違い、それがアタリにも表れるのだと思う。
アタリの見極めが重要
岩カニは耐久性のあるエサではないため、全てのアタリにいちいちアワセを入れていたら、すぐにエサ切れになってしまう。エサ取りのアタリを判別するには経験も必要だが、釣り始めの3~4投はあえてアワセず、アタリの行く末を見極める「学習時間」に充てるのも一つの手だ。
エサ取りと判断できれば、岩カニを本格的にかじり始める前に仕掛けを回収する。私の感覚では、チヌやカンダイは昔に比べて大胆に捕食してくるようになった。微妙なアタリは見送り、「これは違う」と感じる明確なアタリに絞ってアワセを入れるのもいいと思う。
「見えフグ」で見切って納竿
早い時間帯にチヌをキャッチし、数釣りへの期待も高まった。しかし、時間とともに潮位が下がるとチヌの気配も遠のいていく。代わりに、海面からでもエサを待ち構えているフグの姿が見えるようになった。
見えチヌならぬ「見えフグ」状態である。こうなると釣れる確率は大幅に下がる。水軒渡船では迎え便の時刻をあらかじめ申告するルールになっており、9時迎えをお願いしていた私は8時30分前に見切りをつけて納竿した。
最終釣果
最終釣果は37cmのチヌ1匹と、キープしたガシラ1匹、イソベラ1匹。船着き場に戻ると、新波止では平鯵の数釣りが出ていたほか、圧巻だったのはクエとアコウ(キジハタ)の2大高級魚を仕留めた釣り人の釣果だった。
釣果は酒蒸しと煮付けで賞味(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)駐車場を出る際には、おかみさんの元気な「ありがとー」の声に見送られる。帰宅後は釣果を夕食のおかずにして賞味。長時間、遠路の釣行を満たされた気分で締めくくった。
<伴野慶幸/TSURINEWSライター>



