長時間の釣行では、魚や飲食物を冷やすために大量の氷が必要になる。途中で足りなくなれば買い足し、余れば無駄になってしまう。そこで今回は、氷もクーラーボックスも持たず、バッテリー式のポータブル冷蔵・冷凍庫だけで釣りへ出かけてみた。炎天下の車内でも釣った魚を冷やし続けられるのか、実釣を通して検証する。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWS編集部・五井)
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釣れても釣れなくても氷は必要
1日どっぷり釣りを楽しむ場合や、車中泊を挟んで釣行する場合、飲食物や釣った魚を冷やすために多くの氷が必要になる。
しかし、「釣れなかったら無駄になる」と購入量を控えれば、途中で足りなくなって買い足すこともある。帰宅が遅くなり、「魚は翌日にさばこう」と思ったものの、クーラーボックスの氷が残り少なく、コンビニまで走った経験がある人もいるだろう。
氷購入費は意外と高い?
釣り人は、想像以上に氷に振り回されがちだ。筆者の場合、コンビニで実勢価格400円ほどの氷を毎回2袋購入すると仮定すると、1回約800円。2週間に1度、年間25回釣行すれば、氷代だけで年間約2万円になる。1回ごとの出費は小さく感じるが、年間で考えると意外に大きい。
欠かせないけどコストもかかる氷(提供:TSURINEWS編集部・五井)ポータブル冷蔵・冷凍庫
そんな折、知人のKさんから「釣りやアウトドアでポータブル冷蔵庫を愛用している」と聞いた。調べてみると、家庭用コンセントだけでなく、車のシガーソケットや専用バッテリーでも稼働する製品が数多く販売されている。今回、BougeRVから製品提供を受け、バッテリー式のポータブル冷蔵・冷凍庫を釣りで試すことになった。用意したのは、容量22Lの「CRX3」と、40Lの「CRD2 V2.0」の2機種。
手前がCRX3、奥がCRD2 V2.0(提供:TSURINEWS編集部・五井)CRX3は比較的コンパクトで、肩掛けベルトを装着可能。CRD2 V2.0は大型だが、キャリーハンドルと車輪が付いているため、キャリーバッグのように引いて移動できる。
CRX3には肩掛けベルトを装着できる(提供:TSURINEWS編集部・五井)いずれも家庭用コンセント、車のシガーソケット、対応するポータブル電源などから給電できる。コンセント用コードは取り外せるため、屋外で使用する際に余分なコードが邪魔にならないのも便利だ。
CRD2 V2.0はキャリーハンドルと車輪付き(提供:TSURINEWS編集部・五井)なお、海水が直接かかる場所や、本体が水に浸る可能性のある環境での使用は避けたい。車横付けの釣り場や海上釣り堀、車内での魚やエサの保管などに向いているだろう。
氷もクーラーボックスも持たずに釣りへ
今回はCRX3を車に積み、氷もクーラーボックスも持たずに釣りへ出かけることにした。向かったのは、自宅からアクセスしやすい愛知県・知多半島の海岸。朝マヅメはルアーでマゴチを狙い、反応がなければ投げ釣りでシロギスを狙う計画だ。
まずはルアーでマゴチ狙い(提供:TSURINEWS編集部・五井)朝6時にCRX3の電源を入れ、温度を5℃に設定して出発。約1時間後に釣り場へ到着して庫内を確認すると、表示温度は設定どおり5℃。飲み物などもしっかり冷えていた。
1℃刻みの温度設定が可能
CRX3とCRD2 V2.0は、-20~+20℃の範囲で1℃刻みの温度設定ができる。
魚や飲み物を冷やすだけでなく、イシゴカイやアオイソメなどの釣りエサを保管する際は、冷やしすぎないよう10℃前後に設定するなど、用途に応じて調整できるのも使いやすい点だ。
-20~+20℃の範囲で温度設定が可能(提供:TSURINEWS編集部・五井)マゴチは不発もシロギスを確保
朝マヅメのマゴチ狙いは不発に終わった。
今回はフィールド開拓も兼ねた釣行だったため、想定の範囲内。魚がいる場所や釣れるパターンを探すことも、釣りの楽しみの一つだ。
気持ちを切り替え、投げ釣りでシロギスを狙うことにした。
マゴチ狙いからシロギス釣りへ変更(提供:TSURINEWS編集部・五井)こちらは反応が良く、小型主体ながら昼までに十数匹を確保。さらにタコも加わり、十分なお土産を手にして釣りを終えた。
氷を追加購入するか迷いそうな釣果だった(提供:TSURINEWS編集部・五井)シロギス十数匹とタコという釣果は、氷をもう1袋買うべきか迷う絶妙な量だ。今回はポータブル冷蔵庫があるため、氷の残量を気にすることなく、釣れた魚をそのまま冷蔵保管できた。
実際に使って感じたメリット
CRX3は専用バッテリーを含めると、それなりの重量がある。今回は駐車場所から10mほどで釣り場へ入れるポイントを選んだため、持ち運びの負担はほとんど感じなかった。
一方、長距離を歩く磯やサーフ、足場の悪い場所まで運ぶ用途には適していない。そうした釣り場では、魚を一時的に入れるバケツや小型クーラーだけを持ち込み、ポータブル冷蔵庫は車内に置いておく使い方が現実的だろう。
暑い時期の釣行では、クーラーボックスの氷が溶けたことで釣りを中断したり、帰宅途中で氷を買い足したりすることがある。今回は、そうした心配を一切せずに釣りを続けられた。「あと何時間、氷が持つだろう」と考えなくてよいことは、想像以上に気楽だった。
炎天下の車内で13時間半稼働
釣りを終えた後も、庫内温度を5℃に設定したまま、CRX3を車内に置いて稼働を続けた。この日は真夏の炎天下。車内は非常に高温になり、冷蔵庫にとっても厳しい条件だったはずだ。それでも朝6時の起動から午後7時30分頃まで、約13時間30分にわたって稼働した。
炎天下の車内でも夜まで稼働した(提供:TSURINEWS編集部・五井)使用時間は外気温、庫内温度、収納量、設定温度、フタの開閉回数などによって変わるため、今回の結果はあくまで一例となる。それでも、朝から夕方までの日帰り釣行であれば、十分に対応できる手応えを得られた。
釣りで役立つ場面
実際に使ってみると、ポータブル冷蔵・冷凍庫はさまざまな釣行スタイルで役立ちそうだ。
車中泊釣行
飲み物や食料、釣りエサを冷蔵できるだけでなく、釣った魚を帰宅するまで保管できる。また、釣行前日の夜から現地入りする場合も、保冷状態を長時間維持しやすいのも大きな利点だ。
キャンプ&BBQ釣行
食材と飲み物を冷やしながら、ちょっとした釣果も保管できる。食材用/釣果用の2種類のクーラーボックスを持参する必要がない点がありがたい。
BBQと釣りを組み合わせる場面でも活躍(提供:TSURINEWS編集部・五井)アユ釣りなどの長距離遠征
車中泊を伴うことが多いアユ釣りでは、飲食物や釣果を冷やし続けられる。
車中泊を伴うことが多いアユ釣りにも便利(提供:TSURINEWS編集部・五井)船釣り後の魚の保管
船のイケスや共用クーラーを使う釣りでは、帰港後から自宅までの魚の保管庫として活用できる。
魚を船から受け取った後、車内ですぐ冷蔵できるのは安心感がある。
海上釣り堀や車横付けポイント
車から釣り座までの距離が短い場所なら、ポータブル冷蔵庫自体を釣り場へ持ち込む方法もある。ただし、水しぶきや海水が直接かからない場所へ設置する必要がある。
2室を冷蔵と冷凍に分けられる大型モデル
大型のCRD2 V2.0は庫内が2室に分かれており、それぞれ異なる温度に設定できる。
CRD2 V2.0の庫内は2室に分かれている(提供:TSURINEWS編集部・五井)例えば、片方を魚や飲み物用の冷蔵室、もう片方を冷凍食品や氷用の冷凍室に設定できる。キャンプやBBQを伴う釣行なら、肉や魚、飲料を冷蔵しながら、別室では冷凍食品やアイスクリームを保管するといった使い方も可能だ。
各室を別々の温度に設定可能(提供:TSURINEWS編集部・五井)容量と重量があるため、基本的には車載用として考えるのがよいだろう。
自宅でも魚専用のセカンド冷蔵庫に
ポータブル冷蔵庫は、釣行時だけでなく自宅でも活用できる。例えば、次のような使い方が考えられる。
・釣り過ぎた魚の一時的な冷蔵・冷凍保管
・魚を寝かせる際の温度管理
・事前に購入した釣りエサや自作エサの保存
・釣行用の氷や保冷剤の冷凍
・知人へ魚を届ける際の車載冷蔵庫
自宅では釣り過ぎた魚の一時保管庫として使える(提供:TSURINEWS編集部・五井)自宅の冷蔵庫が食材で埋まっているときも、釣った魚を別に保管できる。
また、温度を低めに設定し、衛生管理や状態を確認しながら魚を寝かせる際の保管庫として使う方法もある。
低温に設定し魚の保管にも活用できる(提供:TSURINEWS編集部・五井)実際に使って分かった注意点
便利な一方で、クーラーボックスとは異なる注意点もある。
まず、製品本体とバッテリーには重量があるため、長い距離を徒歩で運ぶ釣りには向かない。
水はNG
また、海水が直接かかる場所や、本体が水没する恐れのある場所では使用できない。屋外で使う場合は、雨や波しぶきを避けられる場所へ置く必要がある。
バッテリーの充電
バッテリーの使用時間も、気温や設定温度、庫内の量などで変わる。長時間の車中泊や連泊で使う場合は、車のシガーソケットやポータブル電源など、充電・給電手段も準備しておきたい。用途や釣り場を選ぶ製品ではあるが、「車を拠点に釣りをする人」との相性は非常に良いと感じた。
釣りの「氷問題」から解放された
今回は、氷もクーラーボックスも持たず、ポータブル冷蔵庫だけで釣行してみた。結果として、釣ったシロギスやタコを冷やしながら持ち帰ることができ、炎天下の車内でも夕方まで稼働した。
特に便利だと感じたのは、氷が溶ける時間や残量を気にせず釣りを続けられたことだ。釣果が少なければ氷が余り、多ければ足りなくなる。そんな釣り人ならではの悩みを減らしてくれる選択肢として、ポータブル冷蔵庫は十分に実用的だった。
車中泊やキャンプを絡めた釣行、車横付けの釣り場へ頻繁に出かける人にとっては、釣り道具と同じくらい出番の多い装備になるかもしれない。
釣り場での食事や魚の持ち帰りを、もっと自由で快適にしたい人は、ポータブル冷蔵・冷凍庫という選択肢を検討してみてはいかがだろうか。
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