根魚は岩陰から動かない魚という印象が強い。確かにストラクチャー依存は強いが、実際には餌や季節、水温変化によって行動範囲を広げる場面も多い。特に夜のライトゲームでは、その固定観念が外れる瞬間がある。根魚とはいっても、意外に回遊しているものなのだ。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・井上海生)
根魚の固定観念
根魚は基本的に、障害物周辺へ身を寄せる習性が強い。外敵から身を守りつつ、近くを通る小魚や甲殻類を捕食するスタイルである。そのため釣りでも、テトラ穴、沈み根、壁際、藻場などを重点的に狙うことになる。実際、それで釣れることも多い。
特にカサゴは分かりやすい。かなり狭い範囲へ居着いている個体も多く、同じ穴から何尾も出ることもある。
この経験が積み重なることで、根魚はほとんど動かないというイメージが強化されていく。
根魚は動かない?(提供:TSURINEWSライター・井上海生)また、昼間の根魚は実際かなり底寄りである。岩陰へ張り付き、目立った遊泳を見せないことも多い。その姿を見ると、確かに回遊魚とは真逆の存在に見える。しかし、これはあくまで一面に過ぎないのだ。
実際には移動もある
実際の根魚は、餌や季節によって意外と動く。例えば夜になると、カサゴですら壁際を浮いていることがある。メバルほどではないにせよ、捕食のためにレンジを上げているのである。
また、キジハタ系ではさらに顕著である。日中は根周りにいても、夕マヅメ以降は周囲を回遊しているような動きを見せることがある。実際、オープン気味の場所で突然食ってくるケースも少なくない。
つまり根魚は、四六時中岩へ貼り付いているわけではない。安全地帯として根を利用しつつ、餌を追う時は行動範囲を広げているのである。
特にベイトが浮いている時はその傾向が強い。小魚が中層へ集まれば、それを追って根魚側もレンジを上げる。プランクトンパターンが強い時は、普段よりかなり浮いていることもある。
キジハタなどの特徴
その中でも、キジハタやオオモンハタは特に動く根魚だ。
もちろん根依存自体は強い。しかし同時に、遊泳力も比較的高い。特に若い個体ほど積極的に餌を追う印象がある。実際、ライトゲームで釣れるキジハタは、壁際だけでなくオープン寄りでも出ることがある。表層近くまで浮いている小型も珍しくない。
フローティングにキジハタ(提供:TSURINEWSライター・井上海生)また、水温変化への反応もかなり大きい魚である。春はまだ浅場へ差し切っていないことも多いが、水温上昇とともに接岸が進む。逆に真夏は深場寄りへ落ちる個体もいる。
つまり、季節によって居場所がかなり変わる魚なのである。加えて、魚影の濃さによっても行動は変わる。日本海側のように個体数が多いエリアでは、比較的大胆に動いている印象がある。一方、大阪湾のように魚影が薄めの場所では、よりストラクチャー依存が強く見えることもある。
釣り人側の考え方
だからこそ、根魚狙いでも根だけを撃ち続ければ良いわけではない。もちろんテトラや沈み根は重要である。しかし、それだけで反応がない時は周囲も探る価値が大きい。
例えば壁際中層。あるいは明暗のオープン寄り。潮が当たるライン。そうした場所に意外な魚が浮いていることもある。
特にナイトゲームでは、その傾向が強い。根魚=ボトム固定という先入観を持ちすぎると、浮いている魚を見逃しやすいのである。カサゴなどがメバル用のフローティングプラグにパクついてくることもめずらしくない(回遊が読めればいいが、回遊魚ほど明確ではないのが難しいとろではある)。
カサゴが突然メバルプラグに(提供:TSURINEWSライター・井上海生)実際、メバルも本来は根魚である。しかし夜には普通に表層を回遊している。つまり、根魚とは根に依存する魚であって、根から絶対に離れない魚ではないのだ。その認識を持つだけでも、釣りの組み立てはかなり変わってくるのかもしれない。
<井上海生/TSURINEWSライター>


