「夏の釣り怪談に認定?」 釣り場のフジツボが人間に寄生するはウソ

「夏の釣り怪談に認定?」 釣り場のフジツボが人間に寄生するはウソ

穴釣りをしていたり、堤防から下を見下ろしたりすると目につくのがフジツボだ。特になんてものでもないが、そういえば昔、「フジツボは人間の皮膚に寄生することがある」という怪談を聞いたことがあった。根がふてぶてしいうえこの手の怪談嫌いの私は少年時分も、この話を聞くとむしろ薄ら寒い馬鹿さ加減にこそ打ち震えたものだったが、実際、どうなんだろう?思えば、実例がないでもなさそうだ。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)

アバター画像
井上海生

フィールドは大阪近郊。ライトゲームメイン。華奢なアジングロッドで大物を獲ることにロマンを感じます。

×閉じる

お役立ち その他

フジツボを見ると思い出す「寄生の話」

令和の今にもフジツボ寄生の怪談は子どもたちの間に伝わっているのだろうか?怪談嫌いの私も子どもをビビらせるにはいいタネだと思うくらいだから、まあ、面白がって話している大人もいるだろう。

もしかするとご存じでない方もいるかもしれないのでお話しておくと、フジツボは人間の皮膚に寄生し、そのまま悪化すると全身がフジツボで覆われてしまう、というモンである。

「夏の釣り怪談に認定?」 釣り場のフジツボが人間に寄生するはウソフジツボは人間に寄生する?(提供:TSURINEWSライター・井上海生)

あはは、そんなこともあるのかもしれないな、みたいな。海辺の鉄板怪談。子どもはお化けや怪談が好きなので、こんな話を聞くと怯えつつ、楽しむのだろう。深遠な読み方をすれば、「あんまり海辺で大人と離れて行動してはいけないぞ。怪我してフジツボに寄生されるぞ」という含みもありそうではある。

答えは「嘘」

それで、この怪談の真相やいかに。「フジツボは人間に寄生するのか?」chatGPTに聞いてみた。

「フジツボは通常、岩や船底、他の海洋生物(クジラやカニなど)に付着して生息する生物で、人間に寄生することはありません。フジツボは固着性の甲殻類であり、寄生虫とは異なります。フジツボは直接人間に寄生することはなく、通常は海洋環境でのみ見られます。」

ということだ。あっさりと「ありえない」と言われてしまった。すなわち、この怪談だが都市伝説みたいな話は嘘である。嘘本当で怪談を斬るのも大人げない態度かもしれないが、まあ、そういうことだ。

フジツボの寄生について

ただしフジツボが寄生することは確かで、上述のようにクジラやカニには寄生する。ではそこで何を食べたりするかというと、脚のようなものを伸ばして、プランクトンなどを捕らえて食べるようだ。そんな姿を想像するほうがむしろ恐ろしい……と思うのは私だけだろうか。

怪奇のプランクトンパターン貝。あるいは、寄生した宿主の栄養を吸収することもあるらしい。なるほど、そういうこともするんだね。

ちなみにフジツボはすべて雌雄同体。淡水には生息せず、海水に棲む。

「夏の釣り怪談に認定?」 釣り場のフジツボが人間に寄生するはウソ人体には寄生しません(提供:TSURINEWSライター・井上海生)

人間への寄生例は、一切発見されていない。画像検索して出てくるのは、要するに加工された写真なので不安はない。ただし亀や貝には実際について、うじゃうじゃと体表にわく。その姿たるやなかなかのもので、怖い人は怖いかもしれない。閲覧注意。

ケガの危険に注意を

ひっそりと消波ブロックや堤防に巣食い、静かに群生するフジツボたち。その姿は、最近のスマホのカメラ3目の気持ち悪さのような、「集合体恐怖」の人の精神には辛いものがあるだろう。

私など見慣れたもので、というかわざわざ見てすらいないが、それはおっさんのハートだ。10代20代の若い娘さんを海に連れていくと「ひゃあ!」とすっ飛んでもおかしくない。ワーフローチといわれるフナムシ同様、フジツボもまた、クールなアングラー以外の人には、恐怖の対象といえよう。

「夏の釣り怪談に認定?」 釣り場のフジツボが人間に寄生するはウソフナムシ、怖い?(提供:TSURINEWSライター・井上海生)

どちらかといえば、フジツボはビジュアルよりも、実際の外傷性の危険の方が怖い。こういうので手足を切ってしまったり服を破られてしまったりすると、イヤーな気分になるものだ。万が一フジツボで肌を切ってもうじゃうじゃと寄生させることはないのでご安心を。でも、もしかして、もしかすると……なんてことも、もちろんない、はず、だけど……どうだろう……。

<井上海生/TSURINEWSライター>