マダイ狙いの人にとって、一年でもっとも大型との出会いが高まるシーズンがやってきた。そう、乗っ込みの時期である。東京湾では、久里浜~剣崎沖、富浦沖にかけてのエリアがメインポイントで、やる気のあるマダイを浮かせて釣るスタイルが定着している。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版APC・田中義博)
一之瀬丸でコマセマダイ
産卵が絡む時期で魚はナーバスになっているため、不用意なビシの動きを嫌うとされている。ゆえに、海面から取る船長の指示ダナを守ることはもっとも重要で、それより下の位置でビシを止めて待つことは、マダイが警戒して浮かなくなるばかりか、船全体での釣果を下げることに繋がる。
4月19日(金)、金沢八景(洲崎町)の一之瀬丸から釣行。残念ながら、一日を通して低活性。加えて、チャンスタイムも短いなか、指示ダナを守り、ビシ位置を下げて待たないことの重要性を再確認した。
この日集まったのは9人。右舷4人、左舷5人が並ぶ。7時過ぎに桟橋を離れ、40分ほどで久里浜沖に到着。すでに大船団ができあがり、船がひしめきあっていた。
舵を握る瀧本晃史船長はポイントを見定めたところで「では、始めてみましょう。水深は46m。指示ダナは海面から20mでやってください。指示ダナはハリス10mを基準に出しています。タナ取りは電動リールのカウンターを見るのではなく、ミチイトのマークでしっかり取ってくださいね」と注意点をアナウンス。
指示ダナ厳守を痛感
1投目、20mの指示ダナで待っていると船長が「すいません。どなたか25mの位置でビシが止まっていて、タナが守られていません。船下に反応が入ってこなくなるので、自分のタナ位置をもう一度確認してください」と注意喚起。
だが、しばらくしても誰かのビシが下がったままで、再び同じアナウンス。船長はビシが下がっていた人を確認し、タナの取り方を再度レクチャー。すると、結果はすぐに出た。
右舷ミヨシに座る丸さん(横浜市)に待望のアタリ。慎重な巻き上げでビシをつかみ、ハリスが緩まないよう手繰ってくると、海面下に赤い魚体。無事タモ取りしたのは1.5kg級のきれいなマダイ。
「これまで12回コマセマダイ船に挑戦してきて、ずっと顔を見ることができず、この1尾が生まれて初めてです。本当に嬉しい」と笑顔で話をしてくれた。
次に竿を曲げたのは左舷ミヨシの治部さん(横浜市)で、1kg級を取り込む。その直後には左舷ミヨシ2番の西田さんにもアタリ。こちらも危なげなく同級をキャッチした。
指示ダナが守られた途端、ミヨシ寄りでアタリが連発。あらためて船長の指示ダナよりビシを下げて待つことが、いかに船全体に影響しているかを物語るシーンだった。
低活性のなか時間が過ぎていく
11時過ぎになると吹いていた北風が強まり、マダイの反応が船下に入りにくくなる。エサも取られない時間帯となり、船長は少しでも気配を求めてポイント移動するが、状況に変化なし。
正午前後に剣崎沖まで大きく移動。丸さんがここで1尾手にしたが、あとは続かないまま13時半。
船長は「状況が変わらないので、最後にもう一度、久里浜沖で粘ってみましょう」とアナウンス。
14時に水深40m、指示ダナは海面から18mで再開。潮の流れが緩いなか、それでも時どき船の周りに反応が入ってくるようで「ちらちらと反応が見えてきたので、手返しとエサのチェックを怠らないようにして下さい」と船長。
その直後、再び竿を曲げたのは丸さん。無事にタモ取りされ、「こんなに釣れてくれて自分が一番驚いています」と笑顔でコメント。
だが、釣れるのはミヨシ寄りばかり。私を含めトモ側は、エサもほとんど取られない状況。時間は刻一刻と過ぎ、残りあとわずか。