播磨灘のボート釣りで人気のアジやブリは、食事の薬味としても楽しまれているが、問題は山椒の葉を好む黄アゲハ蝶の幼虫だ。葉を食べつくされてしまうことに悩んでいた筆者は、ネットで覆い対策をしたが、幼虫はネットの隙間から侵入してしまう。最終的には春になり山椒の木には新しい葉が生え、再び育てることに成功したが、自然界の生存競争を改めて感じさせられる出来事だった。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・丸山明)
山椒を喰う揚羽蝶は釣果の敵だ
播磨灘のボート釣りで年間通して数を釣る魚は、小アジを含めてアジだろうが、重量ではハマチからブリの一族だろう。釣っても食べても好物な良き狙いもので、晩ご飯の肴としては上々だ。食べる際の薬味は、おいしく食べる要素だが、敵がいた。
山椒の葉を食うアゲハ蝶の幼虫
刺身などの際には、薬味が欲しくなる。山椒も香りが強く好き嫌いもあろうが、私の好みなので苗木を買って植え、ひょいと千切ればシソ同様に薬味になる。
ところが、ある日、蝶らしき輩の幼虫を見つけると、この葉っぱをモリモリ食べている。蓼食う虫も好き好きだが、癖のある山椒なのにと思いながらやっつけた。そして何日かすると大事な葉っぱがどんどんなくなっている。
原因を調べると、黄アゲハの幼虫が好物だそうだ。最近きれいな揚羽蝶がてふてふと飛んでいるのを何回か見たが、犯人だ。対策にネットで覆った。これで安心と思いきや、山椒の周辺で孵化した幼虫が、ウンショコラショと鉢をよじ登りネットの隙間から中に入り、食欲旺盛に食べていた。寄生虫ではないが、姿がきれいで騙されそうになる揚羽蝶が山椒を食いつくすのだ。
夏の終りには丸裸にされて山椒が無くなった。親からどんな教育を受けてきたのだろう。あきれるばかりだ。
海にも横取りするのがいた
海にもこういうのいるんだろう。寄生虫のウオノエは、そこそこのサイズのアジの口の中にいる。寄生された宿主は、若干痩せているように見える。あれ食べるとおいしんだよというが、どう見てもダンゴムシだ。ブリ虫のようなことはないが、これは、苦手な奴だ。
見かたを変えると同じ節足動物のエビに似ていて、シャコのようなものだが、苦手だ。これも、アジのおいしさを横取りされているようで、どうにも馴染めない。親からアジの口に入るのだと、どう教わったのか。揚羽蝶もウオノエもあきれるばかりの能力を持っているものだ。
山椒の葉がよみがえった
その山椒。大事な葉っぱはやられてしまったが、嬉しいことに春になり丸裸にされた木に芽が吹き、随分と葉が出てきた。結局のところ、葉を一枚一枚人間が食べるから結果は一緒で葉が無くなるが、横取りは悔しい。シソも植えたが、夏を乗り切りおいしい肴の薬味にしたい。
見た目が美しい揚羽蝶が、こんな悪いことするんだ。生きていくため種の保存だと言い分があっても、悪党面でなくきれいにシャンとすましたような黄アゲハ蝶だけに許しがたい。
<丸山明/TSURINEWSライター>