高級珍味であり居酒屋の定番メニューでもあるナマコ。好みはともかくとして一般的な食材ですが、沖縄県ではあまり食べられていません。
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超高級食材でもあるナマコ
ナマコといえば「奇妙な見た目の珍味」というイメージが強い食材。薄くスライスしてポン酢をかけたものは、居酒屋の定番メニューのひとつといえるでしょう。
一方、中国では古くからナマコを干したものが「四大乾貨(4つの有名な乾燥食材)」のひとつとされ、超のつく高級食材となっています。乾燥品に加工すれば常温保存ができるため、江戸時代中期には日本から中国への重要な輸出品となっていた歴史もあります。
沖縄ではナマコは食べない?
そんなナマコですが、実は日本国内でも利用度合いに濃淡があるようです。基本的に北日本では広い範囲で好まれている一方、南日本の、特に外洋に面した地域ではそこまで人気があるとはいえません。
とくに、沖縄ではほとんど食べられていないという話もあります。これは、ナマコの中で最も一般的な食用種である「マナマコ」が北方系の品種であり、沖縄には生息していないということが大きいでしょう。
沖縄にいるナマコには「オオイカリナマコ」や「ニセクロナマコ」といったものがありますが、その多くが体内にエグみ成分であるサポニンを含んでいます。加えて表皮や身が硬く、我が国で一般的な食べ方である「ナマコ酢」などの生食に不向きなものが多いのです。
沖縄でナマコが漁獲される理由
しかし、実はそんな沖縄でもナマコは商業的に漁獲されています。その理由は「輸出用に加工される」から。
前記の通り、乾燥ナマコは中国において高い価値を持ちます。そして干しナマコに加工すると、多少硬い、あるいはエグみを含む種類のナマコも柔らかく調理することができるのです。
沖縄県内では「ジャノメナマコ」「クロナマコ」といった南方系のナマコが、中国への輸出用に漁獲されているそうです。
なおジャノメナマコは、ときどき沖縄の鮮魚店でも見かけることがあります。しかしそのまま食べるにはやや硬いため、食べる場合はマナマコのように生ではなく、茹でたものをスライスして和え物などにするといいます。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>