見た目がグロテクスでも美味しい魚はたくさんいる。今回紹介するのは、見た目も身もインパクト抜群の「アナハゼ」だ。青い刺身はインスタ映えにも?
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 APC・浅井達志)
身も骨も青色の「アナハゼ」
青魚という言葉もあるが、これは身の色ではなく背中が青く見えることからそう呼ばれる。不飽和脂肪酸を多く含む魚は、背中が青く見えるのだという。
ダツやサヨリ、サンマなど骨が青いことで知られる魚でも、さすがに身まで青いということはない。いくらなんでも、青い身の魚なんて……。
それがいるのだ。
その魚の名はアナハゼ。一見すると褐色(黄色っぽい個体もいる)だが、口の中も青ければ骨も青。さらに身までもが青い。色の濃淡には個体差もあるようだが、この青い色はダツの骨と同様、ビリベルジンという胆汁色素によるものだ。
どこから見ても毒があるようにしか見えない色だが、もちろんアナハゼに毒などない。それどころか、このビリベルジンには、なんと抗酸化作用や抗炎症作用があるらしい。ということは、アナハゼを食べてアンチエイジング、なんてことも!
アナハゼの生態
この魚、ハゼという名は付くが、ハゼの仲間ではない。実はカサゴ目カジカ科に属する根魚なのだ。漁港周りのライトゲームではおなじみのターゲットで、漁港の壁際や係留ロープの周りでサスペンドしている姿をよく見かける。
見かけによらずどう猛な性質なので、ルアーを落とせば高確率で食らいついてくる。比較的容易にヒットしてくれるので、初心者でも十分に楽しめるだろう。サイトゲームで狙えば予想以上の面白さだ。
また、アナハゼは交尾をする魚としても知られている。通常魚類の繁殖行動は体外受精だが、この魚は合体するのだ。せいぜい10~20cmほどの小魚だが、オスには立派な生殖突起がある。ウソでしょ?と思ったアナタ、今度釣り上げたら、じっくりと眺めてみていただきたい。
インパクトある「青い刺身」
そんなアナハゼを食べるなら、やはり刺し身だろう。さばき方は普通の魚と変わらないが、小魚なので糸造りにした方が見栄えがいい。鮮度が落ちると青い色は薄くなるそうなので、新鮮なうちが勝負だ。
1匹から取れる身の量が少ないので食べ応えはないが、ソーダ味がすると言われたら思わず信じてしまいそうな青い刺し身。お世辞にも食欲をそそる色ではないが、ビジュアル的なインパクトで、このアナハゼに勝てる魚はいないだろう。
撮りようによってはインスタ映えもしそうだ。
その味はと言うと、そこはカサゴの仲間。ほどよい甘みもあり、色さえ気にしなければ普通の、いや、むしろうまい部類に入るといってもいい白身魚だ。もちろん、ソーダ味なんてしないから心配はいらない。
私は刺し身でしか食べたことはないが、この青い身は火を通すと普通の白身になってしまうらしい。どうしてもあの色になじめない、という場合は加熱調理をするといいだろう。定番は唐揚げや天ぷら、煮魚など。カサゴの仲間だけに、どう料理しても間違いはないはずだ。
<週刊つりニュース中部版 APC・浅井達志/TSURINEWS編>
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