生息数の激減や価格の高騰が毎年のように叫ばれるウナギ。その代用品はずっと探されてきましたが、このたびニューフェイスが登場したようです。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
京都で「ヒレナマズ」の養殖がスタート
先日、京都の養殖場で、まだあまり知られていない食用魚の養殖が始まりました。その魚とは「ヒレナマズ」。
ヒレナマズはナマズの一種ですが、ウナギと味が似ているという評価がなされています。もともとわが国にいない魚ですが、この理由によりかねてから食材として注目されていました。
ヒレナマズ(提供:PhotoLibrary)今回養殖がスタートしたのは、ウナギの高騰が収まらない中、その代用品として注目されたことによります。実際調理してみると、ムチムチした皮の質感やたっぷりと乗った皮下脂肪がウナギのそれにやや似ており、全く同じ味わいとは言えないものの代用品として味わうことは可能だといえます。
どんな魚?
ヒレナマズはヒレナマズ科に属するナマズの1種で、胸ビレが硬く、棘状に発達しています。このヒレで歩くように移動することができる上に、少しの間であれば空気呼吸もできるので、水のない場所でも活動することができる不思議な魚です。
ヒレナマズは英語名をホンコンキャットフィッシュと言い、その名の通り中国南部や東南アジアが原産となっています。現地では重要な食用魚で人気があるそうです。
外来種問題のリスクはないの?
しかし、外来魚であるナマズの養殖と聞くとちょっと怖い気もしてきます。なぜならわが国には、既に外来種として問題になっているナマズがいくつもいるからです。
その一つがアメリカナマズ。チャネルキャットフィッシュの名でも知られ、利根川水系や淀川水系で大規模に定着し、大問題となっています。これも食用として輸入されたのですが、養殖場からの逸出あるいは違法な廃棄が原因で屋外に定着してしまったものです。
アメリカナマズ(提供:PhotoAC)また、国外外来種だけでなく国内外来種としても、ナマズは問題になりがちです。例えばギギという種類は、本来東日本や九州の有明海沿岸地域には生息していませんでしたが、アユの種苗放流に混ざる形などで各地に逸出し定着して、在来魚を食害するなどの問題を起こしています。
ヒレナマズの仲間であるウォーキングキャットフィッシュ(クララ)は、既に沖縄に外来分布し、生態系被害防止外来種(要注意外来生物)としてマークされています。もしヒレナマズの養殖が今後盛んになっていくのならば、絶対に逸出させないという強い意志と覚悟が必要になるでしょう。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>


