例年より遅い10月中旬ごろに本格化した相模湾のコマセキハダに挑戦してきた。キハダはおろか、10kgオーバーの魚すら釣ったことがない筆者だが、幸運にも20kg級をキャッチ!人生初のキハダとの格闘から、持ち帰った後の苦労までをお届けしたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・黒犬ちこり)
2026年の相模湾コマセキハダ
8月に解禁となる相模湾のコマセキハダだが、2026年は開幕が遅めで、キハダが釣れ始めたのは10月上旬から。カツオと混じった追っかけ釣りから始まり、中旬にはいよいよ流し釣りが本格化してきた。
キハダは警戒心が強く、反応があってもなかなか掛からない。しかし、今年は大型が多く、50kgオーバーの釣果報告も多数ある。
網代港の「ゆたか丸」に乗船
今回お世話になったのは、静岡県の網代港から出船する「ゆたか丸」。遠征対応の大型船で、冗談好きで明るい船長と、こまめに対応してくれる中乗りさんの2人体制だ。
とにかくサービスが良く、「席数限定で釣り座が広々」「掛けてからも徹底サポート」「釣り上げてからの処理もお任せ」「下船後の解体もサービス」と至れり尽くせり。
大量の氷もサービス
特に嬉しかったのは、大量に用意されたガラ氷。「丸ごと持ち帰りたい」とワガママを言った筆者のクーラーに、いっぱいサービスしてくれた。
真水の水道もあって手や道具も洗える(提供:TSURINEWSライター・黒犬ちこり)真水の水道もあって、手や道具を洗えるのもありがたい。ぜひおすすめしたい船宿だ。
コマセキハダの使用タックル
2mの大物用グラスロッドにオシアジガー4000番を組み合わせ、道イトは新品のPEライン8号を400m巻いた。
誘導天秤に100号のステン缶ロングを使用し、仕掛けはフロロカーボンライン24号15m(スタート時は12m)。ハリはジャイアンとキハダ16号で、強化チューブを使ったノットでハリスと接続金具を結んだ。
付けエサはコマセから取ることにこだわり、配られた分の半分をクーラーに入れて鮮度を保っておいた。
手巻きリールで挑戦
自分の道具でやりたくて1年かけて準備したのだが、リールだけはジギング用を流用。本来巻きたかったPEライン10号400m以上を入れられなかった。
振り返れば、タリカ25や電動の6000番以上を用意するか、レンタルしたほうが賢い選択だったと思う。
当日の道具と釣り座(提供:TSURINEWSライター・黒犬ちこり)ちなみに、当日のお客さんで手巻きタックルを使用していたのは筆者一人だけ。特にこだわりがないなら、電動リールを用意したほうが無難である。
開始早々に船中大型キハダがヒット!
集合時間の30分前に港へ到着すると、すでに多くのお客さんでにぎわっていた。常連さんからレンタルタックルの初心者さんまでさまざまで、船は満員の14名。
予約順の席決めで筆者は真ん中の席にしてもらった。船長にアドバイスをいただきながら準備にいそしんでいると、いよいよ出港。船室でウトウトしているうちにポイントへ到着した。
船べりでハリス切れ
7時に釣りを開始すると、10分ほどで常連さんにビッグヒット!全員で見守る中、残り100mから一気に200mまで潜る強烈な引きに、大物への期待感が高まる。一進一退の攻防が30分ほど続いたが、ジリジリと距離を詰めていき、船べりで巨大な姿まで見えた。
ところが、なんとここでハリス切れ。惜しくもバラシとなってしまった。船上には上がらなかったが、これで全員のモチベーションは上がった。
反応はあるのに食わない
しかし、ここからが長かった。魚の反応はあるのだが、なかなかコマセに寄らない。
「タナ35m~」
「40mでやってみてー」
「食ってもよさそうだけどなぁ、食わないなぁ……」
船長も試行錯誤を続ける。おまけに雨まで降ってきてしまい、暗雲が漂う。さらに、筆者の仕掛けがプロペラに絡んでロスト。踏んだり蹴ったりだが、しょうがない。仕掛けを作り直すことにした。
ハリスを15mに変更
作り直している最中に、船中2回目のヒット!他の人がファイトしている間は比較的暇なので、落ち着いて作業ができた。それまでは12mの仕掛けだったが、釣り友達が「数日前に15mの仕掛けで釣ったよ!」と教えてくれていたので、同じく15mに変更する。
ファイトしていた方も、筆者が仕掛けを作り終わったころにちょうど釣り上げていた。30kgクラスの船中1本目に、船上も俄然やる気が高まる。しかも船長から「反応が離れないからすぐ入れてみて!続くかもしれないよ!!」とアナウンス。一刻も早く仕掛けを落とさなければ!
ついに筆者にもキハダがヒット!
船長の読み通り、仕掛けを落としてしばらくするとヒットコール。この魚は途中でサメにやられて頭だけとなってしまったが、「まだ反応あるよ!」という船長のアナウンスに、間髪入れず仕掛けを落とす。ビシダナより10m深くまで落とし、数秒ステイしたのちにシャクリ始め、ビシダナに合わせる。
1、2、3と数えたところで、竿先がガツンと曲がった!
3連続目のヒットは、なんと筆者に訪れたのである。
船長のアドバイスでファイト
「乗った!乗ったよ!!」
大声で騒ぎながらファイト開始。
といっても、やり方が分からないので、とにかく船長と中乗りさんのアドバイス通りにやるのみである。
イトフケを出さないように、竿をロッドキーパーに固定したままハンドルを巻き続ける。
50~80m前後でイトを出されたり巻いたりの攻防が続いたが、この水深はサメが多いらしい。
イトの出方や水深から「勝負を掛けよう」と船長から提案があり、ドラグを締めてのゴリ巻きに掛かった。
まさかの50m読み違い!
残り80mからゴリ巻きを始めたつもりだったが、30mを巻いたところで天秤が竿先に激突。
なんと、50m分もイトを読み違えていたのである。
慌てずに対処していたつもりだったが、やはりテンパっていたらしい。
すかさず中乗りさんがハリスを手繰り、常連さんのアドバイス通りにタックルを逃がして、最後に船長がタモを入れてゲームセット!
感無量の瞬間(提供:TSURINEWSライター・黒犬ちこり)小ぶりな20kgクラスだが、人生初のキハダを釣り上げることができた。
船中キハダ7ヒット!
記念撮影や身の回りを整えていると、今度はレンタルタックルの初心者さんからヒットコール。まさに入れ食いである。船長いわく「マグロの反応が出っぱなし。こんなに反応が付き続けているのは初めて」とのこと。
終了時間まで2時間以上、キハダのヒットが釣り座に関係なく続いた。結果的に、この日は船中7打数3安打(+頭)。
下船後は計測と記念撮影をしてくれた(提供:TSURINEWSライター・黒犬ちこり)サメ被害やハリス切れなど、避けられない事故も多かったが、非常に良い日に当たることができた。
初心者視点の相模湾コマセマグロ攻略のコツ
アドバイスというのもおこがましい初心者だが、今回の釣行で大切だと感じた点を紹介したい。
コマセの手返しを良くする
3分くらいを目安に、とにかく手返し良くコマセを入れ替える。釣れるときはビシダナに合わせてすぐのパターンが多いそうなので、ただ待つよりもチャンスが増えそうである。
船長の指示ダナを厳守する
キハダはビシを嫌うらしく、落とし過ぎるとせっかく寄ってきた魚が散ってしまうという。また寄せるところからやり直しになってしまうので、船長の指示にしっかり従いたい。
ゴム手袋を用意する
特に道イトやハリスを手繰る際、素手では大ケガにつながる危険がある。誰にでもチャンスはあるのだから、釣れるつもりで用意していったほうが良い。ただし、大型魚とのやり取りではイトを手に巻き付けず、取り込みも船長や中乗りさんの指示に従いたい。
船長のアドバイスを聞く
どんなに通い込んでも、毎日出船している船長にはかなわない。また、船ごとに立ち回り方も違うので、乗船した船の船長のアドバイスは必ず聞いたほうが良い。
キハダを丸ごと持ち帰ってみたら
ゆたか丸では無料で解体してくれるのだが、「子供に見せたいからそのまま持って帰る」と、ご厚意を断って丸ごと持ち帰ってみた。
小型でも80cmのクーラーにギリギリ収まらない(提供:TSURINEWSライター・黒犬ちこり)子供も奥さんもビックリ。喜んでくれたまでは良かったが、問題はそのあと。解体が非常に大変だったのである。
リビングでキハダマグロを解体
当日は雨が降っており、屋外ではさばけず、リビングにブルーシートを敷いて解体開始。飛び散る血液、取れない内臓、切れない頭、重たい本体……。大型魚をさばく苦労をアリアリと体験することができた。
さばき方をろくに調べずに始めたのも失敗の一つ。救世主はロープカッターで、どうしても切り離せなかった頭を外すのに重宝した。
解体だけで2時間!
お刺身を食べたくて待っている子供たちには、中落ちのすき身を食べてもらい、真空パック詰めは奥さんにも手伝ってもらった。
使えるものは何でも使った(提供:TSURINEWSライター・黒犬ちこり)2時間かけて汗だくになりながら、ようやく解体が終了。時計を見たら20時を回っていた。朝3時から動きっぱなしで疲れたが、解体後の達成感は格別であった。
釣りたてキハダの料理を満喫
苦労した解体であったが、料理の味は格別。今年は特に脂がのっているらしく、刺身や手こね寿司、フライなど、どうやって食べてもおいしい。
血合いはレバ刺しのような味?
特に印象に残ったのが、血合いの刺身である。ごま油と塩で食べると、まさにレバ刺しのような味わい。クセが強く、好き嫌いはあるだろうが、筆者にとっては釣った魚を味わう楽しみの一つとなった。
まさにレバ刺しのような血合い(提供:TSURINEWSライター・黒犬ちこり)ただし、マグロの血合いを生で食べる場合は、鮮度や衛生管理に十分な注意が必要だ。釣り上げてからの冷却・保存状況によっては生食を避け、加熱調理を選びたい。
大物釣りに挑戦してみて
この記事が掲載されるころまで釣れているかは分からないが、2025年、2026年と相模湾のコマセキハダは好調な釣果が見られた。
「いつかは大物を釣ってみたい」と考えている方にとって、挑戦する価値のある釣りだと思う。筆者は幸運に恵まれて釣り上げることができたが、次にいつ釣れるか分からないのがこの釣りの怖いところ。
道具も非常に高額なうえ、通ってもアタリすらない……といった怖い話もよく聞くので、万人におすすめできる釣りではない。
しかし、魚を掛けた後は船長や中乗りさん、常連さんなどがサポートしてくれる心強さがある。釣り方は基本的なコマセ釣りなので、難しく考えすぎずに一度挑戦してみてはいかがだろうか。
どれだけ食べてもなくならない幸福が待っている(提供:TSURINEWSライター・黒犬ちこり)そして、釣り上げた際の持ち帰り方は、本当に、本当によく考えたほうが良い。そのうえで、美味しい釣果をぜひ楽しんでほしい。
<黒犬ちこり/TSURINEWSライター>


