魚の分類におけるこれまでの常識が、最近の研究によって大きく覆っています。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
「スズキ目解体」が話題に
魚について多少の知識がある人なら、「スズキ目」と言う分類上の項目について知らないということはおそらくないでしょう。代表魚のスズキを始め、非常に多くの種類の魚が含まれるグループとして知られてきました。
しかし先日、このスズキ目に関する”変更”がネットで大きな話題となりました。というのもなんとこのスズキ目がほぼ”解体”と言える状態になってしまったのです。
ホタルジャコ目スズキ科(提供:PhotoAC)これまでスズキ目に含まれていた魚は、最新の研究によってペルカ目やサバ目、アジ目、ニザダイ目などに再分類され、スズキそのものもホタルジャコ目の中のスズキ科に含まれるとされました。
実はスズキ目はこれまで「あまりに多くの種類の魚を含む」ため、魚類分類学における”ゴミ箱”のような呼ばれ方をされることもありました。今回の再分類によってわかりにくくなったと言うよりも、むしろ系統的に考えやすくなったといえるかもしれません。
ヒラメはアジの仲間!?
このような大きな変更は、魚の分類がこれまでの「形態上の違い」に基づくものから「遺伝子上の違い」に即す形で再検討されたことによって起こりました。そのため、形態上はまさか同じ種類とは思えないようなものが、新たに同じグループ、もしくはそれに属するものと再分類された例もあります。
その最大の例が「カレイ目」。食用魚として人気のカレイやヒラメなどを含むグループで、体の表面と裏面で作りが違い、海底に這うようにしながら暮らす魚として知られています。
ヒラメはアジ目!?(提供:PhotoAC)このカレイ目、最新の研究ではなんとアジ目に属するものという考え方が唱えられています。アジやブリなどを含むアジ目ですが、その中のとある魚がある時から海底に適応した形態に進化し、それがカレイ目の祖先となったと考えられているようです。
タイもシロギスも「ニザダイ目」
さてここからは少しマニアックな、しかし釣り人ならオッと思うような変更点をあげます。その変更点とは「ニザダイ目」にまつわるもの。
ニザダイ(提供:PhotoAC)ニザダイは磯周りに生息する魚で、強烈な磯臭さを持つことからあまり好まれず、釣りにおいても外道魚としてその名を知られています。食用として流通もあまりしないマイナーな魚ですが、なんとこの度、多くの有名な食用魚たちをまとめるグループにその名を冠することになりました。
ニザダイ目には食用魚の王様であるマダイや、天ぷらの魚として超一級品であるシロギスなどが含まれ、まるで”下克上”のような状態になっています。これらは形態的にもかなり縁遠く見えますが、遺伝子分類によれば両者は互いに共通点を多く持つのだそうです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>



