川にサケ(鮭)を取り戻す工事が効果を上げる 人工的に河川の蛇行を復元?

川にサケ(鮭)を取り戻す工事が効果を上げる 人工的に河川の蛇行を復元?

かつて大衆魚の代表だったものの、いまや見る影もない「サケ」。その資源を本気で取り戻そうとする試みが身を結びつつあります。

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サカナ研究所 その他

実は大ピンチな日本のサケ

我が国でいちばん知名度のある魚といえば何か、と聞かれたらなんと答えますか? マグロ、サンマ、アジ、ウナギなど様々な答えがあると思いますが「サケ」もその候補に上がるものの一つでしょう。

かつては東日本各地の川に、秋になると遡上してきたサケ。おにぎりの具や鍋の具材など様々な形で活用されてきた、我が国の食卓に欠かせないサカナです。

川にサケ(鮭)を取り戻す工事が効果を上げる 人工的に河川の蛇行を復元?サケ(提供:PhotoAC)

しかしそんなサケの資源がいま、まさに大ピンチと呼べる状況にあります。ここ数年間サケの水揚げ量は右肩下がりとなっており、2025年の北海道の水揚げ量はおよそ685万尾と、50年ぶりに1,000万尾を割り込みました。

北海道以外の産地はそれ以上に厳しい状況で、とくにかつて主要な産地であった三陸海岸では、現在の水揚げはほぼ0となってしまっています。

人工孵化&放流は逆効果?

サケがこれほどまでに獲れなくなってしまったのには、様々な理由があると言われています。

とくに大きいとされているのは、日本近海の海洋環境の変化です。東北日本の太平洋側や日本海側で沿岸の海水温が著しく上昇しており、サケの棲息や来遊に適した環境ではなくなってしまっているという説があります。

川にサケ(鮭)を取り戻す工事が効果を上げる 人工的に河川の蛇行を復元?サケの遡上(提供:PhotoAC)

またそれ以外にも、我が国のこれまでの政策がサケを減らしてきたという主張もあります。

我が国では遡上してきたサケやマスを捕獲してその卵を取り出し、受精、孵化させる「人工孵化・放流事業」を行ってきました。しかし人工孵化で産まれた稚魚はその後の生存率が低いことが分かっており、良かれと思って行ってきたことが実は逆効果であった可能性が指摘されています。

外国ではこの点に注目して人工孵化を減らしたり無くし、自然孵化を促進する方向に切り替えた結果、サケの来遊数や遡上数が向上しているところもあります。我が国でも、その方向に切り替えようという地域が出てきています。

サケの遡上を「工事」で助ける

そのような「サケの遡上量を増やす」ことに注力している自治体のひとつが、北海道の標津町です。ここではサケの自然繁殖を促すために、かつて開拓の途上で失われた河川の蛇行を復元するという施策を行って注目されています。

この標津町ではまた、河川に「バーブ工」という構造物を設置するという試みも行ってきました。これは河岸から上流に向かって突き出すように堤防を築き、川の流れに変化を与えるものです。

川にサケ(鮭)を取り戻す工事が効果を上げる 人工的に河川の蛇行を復元?標津川(提供:PhotoAC)

バーブ工は本来、河川の流れを緩めて河岸の侵食を防ぐために造られました。しかしその結果として河川環境に様々な変化が生まれ、そこに棲息する生き物たちの多様性をもたらすという副次的な効果が得られることが分かっています。

標津町ではサケが遡上しやすく、産卵しやすい河床環境が作られることを狙って、各地の川にバーブ工を設置してきました。その結果として、サケの産卵床の数が大きく増加したり、産み付けられたサケの卵の生存率が有意に向上するというポジティブな結果が得られたそうです。

標津町ではこの結果を踏まえ「町内外の河川環境の保全や、サケ資源量の回復につながれば嬉しい」とコメントしています。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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