『引っ掛け釣り』という釣りがある。『ギャング釣り』や『サッカケ』とも呼ばれ、魚の魚体に直接針を引っ掛けて釣り上げる釣法である。これは静岡県の海釣りではショア・オフショア問わず禁止されている。
筆者は引っ掛け釣りが禁止なのははマナーの問題と捉えており、規則として禁止されていることを恥ずかしながら最近になって知った。この機会に詳しく調べてみたいと思い、静岡県経済産業部水産・海洋局水産資源課に問い合わせ詳細を教えてもらった。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・黒犬ちこり)
引っ掛け釣りについての質問事項
電話とメールで問い合わせを行い、以下の内容を質問させていただいた。
・引っ掛け釣りはなぜ・いつ頃から禁止されているのか
・どのような根拠で禁止とされているのか
・ルアーやエギはから鈎に該当するか
・(県下では主流では無いが)フグの『カットウ釣り』は禁止なのか
・禁止エリアはどこまでとなるか
・許可された釣法で結果的に引っ掛けてしまった場合(スレ掛かり等)も違法となるか
・罰則と、取り締まる組織について教えて欲しい
・その他釣り人に知っておいて欲しいこと
お返事いただいたメールをそのまま掲載することはできないので次の項から一つずつ解説していく。
引っ掛け釣りはなぜ・いつ頃から禁止されているのか
静岡県の海で釣り人が行うことができる釣法は『静岡県漁業調整規則第43条』という規則に定められている。この中に『さお釣又は手釣り(空鈎を除く。)』とあり、引っ掛け釣りはこの空鈎に当たるので禁止されているのである。
静岡県漁業調整規則は昭和26年に初めて制定され、その後、改正・統合が行われてきたが、この条文は、昭和47年に追加されたようである。よって、少なくとも【50年以上前から、条文に記載されているため禁止されている】となる
どのような根拠で禁止とされているのか
『釣り』には釣漁業という定義がある。どのような定義かというと『釣りは、釣糸の先に釣針をしばり、餌または擬餌等を用いて、魚類をはじめとする水産動物を誘い、釣針にかけて漁獲をおこなう一つの漁法』とあり、具体的には
手釣漁業
さお釣漁業
引縄釣漁業
立縄釣漁業
はえなわ釣漁業
機械釣漁業
に分類される。引っ掛け釣りは水産動物を誘っていないためこの分類のいずれにも含まれない。よって【水産動物を誘っていないので釣りとして認められていないから】となる。
ルアーやエギはから鈎に該当するか
ルアーやエギは、前項にある定義の『疑餌』に当たる。また、魚を誘って釣果に結び付けている事は読者の皆さんがご存知の通りである。よって【ルアーやエギはから鈎に該当しない】となる。