バチ抜けが関西では本格化してきている。シーバスで有名な捕食パターンだが、実はその他の魚もバチをばくばく食べるので、あらゆる魚種の活性が上がる季節と考えていい。今回はバチ抜けの基本情報と、狙い方、狙える魚種などを紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
関西のバチ抜け
バチ抜けとは、バチ=多毛類が水面に浮いてくる現象を言う。では、なぜバチがそのように水面に浮いてくるのか?
それは、バチがこの時期産卵を迎えるからだ。バチの餌はプランクトンで、その餌をとるために水面に浮いてきて、常夜灯の光などで光合成したプランクトンを食べる。バチ抜けが起きるのは夜中、主には汽水域が多い。
バチ抜けの季節は東からという鉄則がある。東から西へと1か月~2か月遅れで到来する。関西でバチ抜けが起きるのは3月~5月くらいで、年によってかわるが、主には5月6月が最盛ないし終盤となる。
筆者が確認したところ大阪南港では2024年、4月28日まではバチ抜けが起きていない。
バチ抜け条件
では、バチ抜けしやすい条件を確認していこう。
バチ抜けが起きるのは、汽水域から、塩分濃度がわりあい低い沿岸近海が多い。バチが棲む海底が砂地で、あまり水深が深すぎないことも条件だ。バチ抜けが発生する時間帯は、暗くなってから。春時期であれば18時以深だ。
上述のようにプランクトンを餌としてとりにくる生物である。プランクトンとは、主に植物性プランクトンで、常夜灯の光を浴びて光合成して増殖する。そのため、バチ抜けが起きるのは夜だ。常夜灯の光が当たる範囲で、さらに、満月の晴れの日がもっとも望ましい。
バチの産卵期は春時期で、これ以降はない。バチ抜けで魚が釣れるのも春だけとなる。
バチ抜けパターンの打ち方
多毛類=バチが浮いてくるのは主に表層で、数が多いのは表層以深2m以内といったところとなる。魚は常に餌を「壁」に追い詰めて確実に食おうとする習性があり、海面もその条件に当たる。
そのため、バチ抜けが水深関係なく起きまくっている状態でも、基本的に海面直下で食いにくる。我々アングラーが最優先して打つべきレンジは、表層だ。
曇り満月などのバチ抜け
バチ抜けといえば表層だが、むろん、中層以深もキーレンジとなることがある。
この鍵となるのが月影だ。フルムーンでないときには、バチはやや沈む傾向にある。それから、「曇り満月」もその種類だ。要するに光量が十分でないときには、バチはあまり表層に浮いてこない。
海に光量が足りないときには、沈んだバチ、すなわち「沈みバチ」を考える。この場合はフローティングのルアーではなく、シンキングルアーや、ワームで攻略していこう。
魚種はシーバスだけにあらず
バチの種類は様々で、クルクルバチと言われる小さいバチもいれば、60~90mmのノーマルサイズもいる。もちろんルアーは、なるべくサイズを合わせた方がいい。ただ、バチの種類に対してルアーが大きすぎるのは問題となるが、小さいのはあまり魚の方では問題にしない。50mmを標準としてルアーのサイズを調整すればOKだ。
食ってくる魚種は、沿岸のほとんどと言っていい。アジ、メバル、シーバス、チヌ。シーバスのパターンがあまりにも有名だが、メバルのバチパターンも甚だしいものがある。メバルは最終盤に難しくなるので、バチ抜けが発生するポイントに攻め方を持っておくと、そこから数が伸ばせる。むろんシーバスも食ってくるので、ランディングのためのタモの準備は必須だ。
その他、筆者の想像では、おそらくマゴチやヒラメあたりのフラットフィッシュもバチを食うものと思われる。というのも彼らはバチが発生しやすい海底が砂地の場所に棲む魚だからだ。そしてフラットは、わりと夜も動く。バチ抜けルアーでの攻略を試してみよう。
<井上海生/TSURINEWSライター>