今シーズンのトラフグ乗合が、各港出船で開始。釣果が出始めてきた3月下旬。知人が仕立てた船に呼んでいただき、内房・勝山港から出船してきた。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版APC・田中義博)
前日は釣れ過ぎ早上がり
以前はほかの釣りのゲスト。しかも、もし釣れたら、ちょっとしたニュースになっていたというのがトラフグのイメージ。
しかし、ここ数年、稚魚放流の効果が出てきたのか、東京湾では増加傾向で、釣りのターゲットとしても人気を博している。専門船が出るのは、春の一時期。大潮時に産卵のため群れを成して集結する習性があり、日程やポイントがハマれば、爆発的な釣果も体感できるとして、一大イベントとして捉える釣り人は多い。
じつは、この前日に第1弾のⅩデーが到来。8時半に釣れすぎて早上がりした……と聞けば、誰もが期待に胸を膨らませるのも仕方がない。左舷8人、右舷9人の17人が揃い、準備が整った6時すぎに出港。
向かったのは、近年メインポイントとなっている富浦沖。船長の指示ダナは中層だったり、底付近と、魚探の反応を見てアナウンスされる。
開始1時間半でスイッチON
期待のかかった朝イチは反応こそあるものの、口を使わず空振りの流しが続く。しかも、朝から雨が降り続き、ローライトな状況も活性が上がらない原因と考えられた。
スタートから1時間半。船長はこまかく移動を繰り返すが、トラフグのスイッチは入らない。だがその直後、近くを狙っていた乗合船から「食い出したぞ」と一報が入り急行。
見れば、あちこちで竿が曲がり、船長と仲乗りが忙しそうにタモ取りするシーンが目に入ってくると、一気にボルテージが上がってきた。
「どうぞ。水深48m。底から6mくらいまで反応が出ているよ」と、船長も興奮気味。ミチイトのメーターマーク45mで仕掛けを止め、大きくリフトさせてからゆっくりと落とし込んでいく。
フィーバータイム突入
落とし込みの途中で竿先がバタバタと暴れ出し、鋭くアワセを入れるとズッシリと魚の重みが伝わってきた。トルクのある力強い引きをいなし、距離を詰めていく。海面下に姿を見せたところを仲乗りにタモ取りしてもらい2kg級をゲット。
船中でもここが時合いとばかりに次つぎと竿が曲がり、まさしくフィーバー状態。2kg級の良型がほとんど。私は、このタイミングでバラシなしの3連チャン。少し食いが落ち着いたところで、再び高めのタナから落とし込みの誘いでアタリを出し、最大となる4.3kgを追加することができた。
このフィーバータイムは、わずか30分程度。その後も船長は少しでも食い気のある反応を探してくれたが、結果的にこの短時間だけしかトラフグは上がらなかった。
好機を逃すな
食い気が立つとエサに対し非常にどう猛で、鋭い歯と力強い顎で軸の細いハリなどは簡単に折り、ワイヤーをカットウバリのハリスに使っても嚙み切ってしまう。
いつ訪れるか分からないチャンスタイム。その時合いを逃さないためにも仕掛けやリーダー、ミチイトやタックルバランスなど、万全な状態で挑むことで、本命をキャッチできる確率は上がってくるはずだ。
また、水深は50m前後を狙うことが多く、潮回りの大きい日に活性が高まることも多い。仕掛けは潮受けの少ないシンプルなものほどトラブルも少なくなり、チャンスタイムを逃さないという利点もある。
仕掛けは釣り人のこだわりが反映される部分だが、オマツリが多かったり、船長から仕掛けを替えるように言われたときはシンプルイズベストが正解なことが多い。ちなみに私は、オモリの下にワームフック5/0を2本だけ装着した仕掛けを使用している。
船中26尾キャッチ
この日の釣果は1~4.3kg船中0~4尾で、船中26尾。釣れたトラフグは、船宿で可食部分のみに処理して渡してくれるので、帰宅後も安心して食べることができるし、天然物を自宅で食せるのは、まさに釣り人の特権。
期間限定の釣り物で、例年4月いっぱいは乗合船が出ていることが多いので、興味のある人はぜひ挑戦してみてはいかがだろう。
<週刊つりニュース関東版APC・田中義博/TSURINEWS編>
出船場所:勝山港