3月8日、車で名古屋からなら高速で約50分。電車でも1時間ほどでアクセスできる愛知県・美浜町河和港から出船する光宝丸に乗り込んでトンジギに行ってきた。今シーズン、光宝丸ではトンジギダービーを開催しており、ファースヒット賞と最重量賞が用意され、賞品として釣具商品券が手渡される。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)
光宝丸でトンジギ釣行
すでにファーストヒット賞は、11.5kgを釣り上げた一宮市のバンさんが勝ち取り、残すは最重量賞。現時点では豊田市の鈴木さんが釣り上げた28kgが最有力候補となっている。その記録を塗り替えるべく、腕に覚えのあるアングラーたちが早朝の河和港に乗り込んできた。
集合時間は午前5時。各自受付を済ませ、決まった釣り座に向かい淡々と準備を進めていく。天気は晴れ予報だが、吹きつける風は冷たく、港の時点で5m近い。筆者は船に強くないので、酔い止めのアネロンを流し込んで、出発の時間を静かに待っていた。
河和港からトンジギのポイントとなる志摩沖まではおよそ2時間強。自分の車で伊勢志摩や鳥羽の港を往復するのも悪くないが、近場の港から信号や渋滞を気にすることなく、船に揺られながらのんびり向かうのも気持ちが良い。
今季は不調続き
さてここで今シーズンのトンジギについて、少し振り返ってみたい。例年であれば11月中ごろから気の早い遊漁船が調査便と称して志摩沖へ繰り出すのだが、今年はその調査便で全く気配はなし。12月に入って本格的にシーズンインしても、一向に上向く様子はなかった。
短いスパンで群れが入り、パタパタッと好釣果が上がってもそれが長続きすることはなく、この日乗船した春日井市の伊藤さんはすでに2月に完全試合を食らっている。完全試合とはアタリもカスリもない釣行のこと。
本来であれば初期はタネトンと呼ばれる20kg前後の大型を狙え、年が明ければ小トンといわれる10kg前後の小型の数釣りが楽しめるようになる。
だが今シーズンは年が明けても小トンの群れが来ることはなく、釣れても船中1~2匹といった状況が続いていた。
だがこの釣行の前日、思わぬグッドニュースが飛び込んできたのだ。志摩沖に出撃していた三重県の鳥羽や志摩の遊漁船が、小トンの群れに遭遇しそこそこの釣果を上げたとのこと。
これはもしや絶好のタイミングに当たったのでは……と伊藤さんに連絡すると、「またぁ~!期待しすぎるとロクなことないのでボウズ上等で行きます!」とのこと。確かに水モノのトンジギ、前日の群れが居座ってくれている保証はどこにもない。
釣果はともかく、高い水温の潮が入ってビンチョウ(ビンナガ)の群れが多くなっているのは間違いなさそう。過去イチの期待を胸に光宝丸に乗り込んだ。
タックル
ここでトンジギに使用するタックルを説明しよう。マグロを狙うとなると、さぞ強靭なタックルが必要だろうと思う人も多いかもしれないが、ビンチョウはマグロ類の中でもさほどパワーのある方ではない。よってブリなどの青物ジギングのタックルの流用が効く。
ベイト、スピニングは好みによるが、ベイトタックルを使う人が多いようだ。スピニングならシマノ8000番クラス、ベイトなら2000番以上。ハイスピードでしゃかりきにシャクり上げる釣りではないので、体に負担の少ないパワーギアタイプがお勧めだ。
また最近では電動タックルを使う人が多くなった。確かに重量級のジグを水深150mまで沈め、ゆったりとはいえ人力でシャクり続けるのはかなりの労力だ。おまけに疲弊しきったところでヒットなんかすれば、ファイトはもう地獄。これを文明の利器である電動リールを使えば、両手でロッドを持てばかなり体力の消耗を防げる。移動時の回収も楽々だ。
ただし、ヒットした際に小技が効かないのが難点。フォールでヒットすることも多いのだが、アワセを入れるのが遅れて、せっかくのチャンスを逃してしまうことも多いようだ。
ラインはPEライン4号。ビンチョウだけなら3号でも十分だが、間違ってキハダがヒットすることもあるので、4号300m巻いておくと安心だ。リーダーは80~100lbを6~8m。
ジグは引き重りが少ないセミロング、ロングタイプの250~450gを使う。フックはジグの大きさに合うものをフロントに1本のみ、あるいはフロントとテールに1本ずつセットする。フックは太軸のタフなものを選ぶようにしよう。
ジグの重さを選択
トンジギは船をドテラ流しで狙う。風と潮で船は横流しになるため、ジグを真下に落とすと船の流れる速度に合わせて、ラインは前方に払い出されていく。風が強く船が速く流れるようならジグは400g以上、風が緩くあまり流れないようなら250~300gのジグを使う。
広大な志摩沖を回遊するビンチョウを狙うには、広範囲を効率よく探る必要があるのだが、ドテラ流しでジグを斜め引きにすることが、最も効率的な釣り方といえるだろう。