今年も太公望にとって待望の一大イベントであるヤマメ・アマゴ釣りが解禁。シーズン初釣行がこれからという方は、きっと仕掛け作りに余念のない時期だと思う。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース西部版APC・津曲隼丞)
エサについて
川虫は、最も食いの立つ万能エサ。日ごろ渓魚が捕食しているので川虫に警戒心を抱かない。採取する手間暇はかかるものの、物価高騰の時代でありエサ代0円はありがたい。また、その労力は釣果として表れてくれるだろう。
なかでも、ヒラコ、キンパク、ピンチョロ(ピンピン)は、食い込み抜群なので必ず採取しておきたい。場所や年によっては採取困難な場合があるので、予備エサとして、市販のブドウ虫やミミズを用意しておこう。初期だとイクラを使った釣り方も抜群の釣果が上がる。まきエサで寄せる釣り方もあるが高価がネック。
代表的なエサは下記に紹介する。
ヒラコ
最も食いの良いエサといっても過言ではない。ただし、保存は難しく生きても一日程度。本名は「ヒラタカゲロウ」と呼ばれ、地域によって「ヒラタ」、「チョロ」などと呼ばれているが、九州ではヒラコとよく呼ばれている。
3月ごろは「起こし虫」と呼ばれ、流れの緩い場所で石を持ち上げると、石裏にへばり付いている。起こし虫は、とても軟らかくてデリケート。潰さないように剥がして、ホームセンターで売られている園芸用の水ゴケを入れたエサ箱に入れていく。採取時に、足が取れると弱りも早く、食いも悪くなるので、慣れていない人はピンセットなどを使うとよい。4月になると、白泡の立つ流速のある大きめの石に付く「ナデ虫」と呼ばれ、食いが立つ。ナデ虫は少々体も丈夫で、ブラシなどでなでて下にタモを置くと一網打尽で採れる。
キンパク(カワゲラ類)
3月に数多く採取でき、体長10~15mmが食い付きも良い。体全体が黄色く発色しているので、水中で目立つのか食いも抜群。初期の釣りでは欠かせないエサ。ただし、3月下旬から4月上旬には羽化してしまうので期間も短い。
採取方法は、ひざ下までの小石が敷き詰められたザラ瀬に多く生息しているので、下流側に網を立てて、足で川底の小石を転がすと大量に採取できる。また、冷蔵庫の野菜室で、タッパーなどの容器に水ゴケを入れて保存すれば、四日程度は元気に生きている。
ほかには、あまり黄色味の少ないカワゲラもいる。これを「ギンパク」と呼ぶ。やや食いも落ちるが、目先を変える予備エサとして一緒に採取しておこう。また、ひと回り大きなサイズで、橙色をした「オニチョロ」がおり、尺物狙いに有効だ。
ピンチョロ
本名は「フタオカゲロウ」。細長い流線形をしており体長10mm程度。「ピンピン」とも呼ばれており、一見すると小魚が遊泳しているかのように映る。
4~5月の時期に多く発生し、本流域や里川で、流れに通じる水溜まりに多く生息している。川虫採り網ですくえば一網打尽。ただ、保存期間は一日と短く、保存は水ゴケを入れて低温で保存する。
泳ぐ虫のために誘い効果もあり、軟らかな体で食いつきも抜群に良い。また、ライズを見かけたら、これをチョン掛けして、フライ・テンカラ釣りのように表層釣りで試すと面白い。
クロカワ虫
体長20~30mmの黒色で小さなくちばしを持つ。本名は「トビゲラ」。瀬肩や瀬脇の水通しの良い流れの石裏に巣を作っており、1つ1つ石を持ち上げて採取する。
本流域や少し濁りの入った里川では、抜群の食いで、良型・大物に効果的。一方で、透明度の高い渓流域では極端に食いが落ちることもあるので留意しておく。
大量に採取しエサ箱に入れてしまうと、互いに噛み合って絶命してしまう。元気なうちは張りもあるが、弱るとしなびてしまい極端に食いも落ちるので注意する。
保存方法は、気温上昇に大変弱く、首掛けの竹製の風通しの良いエサ箱にヨモギを揉んで入れるとよい。30分間に1回程度を目安に水流に浸し、エサ箱内の温度上昇を抑えると長持ちする。腐葉土などに混ぜても長持ちする。
ブドウ虫
おいしそうなネーミングだが、正体は蛾の幼虫。ヤマメ・アマゴ釣りではポピュラーなエサで、市販エサとして釣具店で販売している。使用前の下準備として、ブドウ虫は冷蔵庫で低温保存してあるために冬眠状態であり、体に張りがなく動きも鈍い。これではハリにつけにくく、食いもいまひとつ。
そこで、釣行前日に冷蔵庫から取り出し常温に戻しておくと、釣り当日は張りと弾力が戻り元気によく動いて食いも立つ。
体長20mm程度でクリーム色で、視認性も良いのか朝夕マヅメ時や濁りの入った時にも食いが立つ。シーズン通して条件を問わず食い込みの良いエサだが高価。
使用時期は、特に夏季から9月の終盤にかけてがお勧め。夏季以降の渓魚は、川虫も羽化し、渓面に落下する陸生昆虫に食性を変化させている。釣り人も水面下を意識して、通常使用するオモリよりも軽くしたりオモリなしで、毛バリのように水面釣りを楽しむことができる。
ミミズ
川釣りの万能エサとして、昔から慣れ親しんできた人も多いのではないだろうか。独特の匂いと長い体をくねらせて、渓魚にもよくアピールしてくれる。
ヤマメ・アマゴ釣りでは、雨後のささ濁りのタイミングで使用すると抜群に食いも良い。視認性と匂いが、濁りの中でも渓魚を誘うのだろう。特に梅雨時期から食いが立つエサである。
初期は、低水温のためか水中でも動きが鈍く、また自然界でもミミズの発生が少なくて食いもいまひとつ。やはり、気温の上がる5月ごろからがよい。できれば野山・畑の腐葉土で天然ミミズを採取するとよいが、市販ミミズでもよく食い込み、劇的な変化は感じられない。
ただし、尺を超える大物釣りに関しては、天然の大きなドバミミズに軍配が上がる。
<週刊つりニュース西部版APC・津曲隼丞/TSURINEWS編>