現在はオフシーズンとなっている渓流釣り。渓流釣り師の皆様は、「釣り師の元旦」とも言える解禁日を今か今かと待ちわびておられるのではないだろうか。釣行記録を長きにわたってつけ続けている著者は、オフシーズンの間にその記録を見返して対策を立てているのだが、これが実に役立つのだ。今回は、著者流「渓流餌釣りの釣行記録」の付け方と、具体的にどのように役立つのかを紹介しよう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)
渓流釣りと釣行記録の関係
著者はどの釣り方であっても必ず釣行記録をつけるようにしている。その中でも、渓流釣りは特に「記録していてよかった」と感じる。著者は12年ほど兵庫県の揖保川へ通っているが、各支流の釣れ具合に明らかな差があるのだ。
ベビーアマゴばかりの支流、見た目は良さそうなのに反応が悪い支流、はたまた「こんな場所で!?」と思うような場所に固まっている支流まで、釣れ具合は実に多岐にわたる。また、本流では毎年良型がヒットする、いわば「着き場」と呼べるようなポイントも存在する。
そこで、釣行前に釣行日のコンディションと近い自身の過去記録を見返すクセをつけてみたところ、良い釣果を得た場所・同じ釣り方で、また釣果を得る事が出来ているのだ。今回の記事では、以前紹介した内容にプラスして、渓流釣り特有の記録の付け方を紹介したい。
渓流釣り特有の記録/外的要因
まずは、そもそもの環境が特殊と言える渓流釣りにおける「外的要因」の記録の仕方を見ていこう。
天気
山の天気はコロコロ変わりやすい。渓流の場合、支流ごとに天気が違う……なんてこともザラだ。丸1日天候に変化が無ければ特に問題はないが、きちんと訪れた場所(支流)ごとに張れ・曇り・雨・雪・風の強さといった天候を記録したいところだ。こうすることで、「〇〇(支流名)は西風に強い」や「曇りであっても〇〇は水量が多く危険だ」といった事が判るようになる。
気温と水温
著者は渓流釣行時にいつも利用する道路があるのだが、その道路脇にある気温計に注目し、そこに表示されている気温を記録している。細かく記載するなら水温も記載したいところだが、著者は採集できる川虫の成長具合や肌感でなんとなく水温が判るので(これは経験があれば誰でもそうなる)、「外気温に対して低すぎる・高すぎる」時以外、水温はそこまで気にしていない。
釣行場所
渓流釣りの場合、支流名をSNSや個人ブログに掲載してしまうと、(海とは違い)回遊などが見込めないために場荒れがひどくなる。よって、自分だけが確認できるメモやノートに、入渓場所(支流名、目印となるもの等)を記載しておきたい。
著者は入渓場所の写真を撮影しておき、その場所を全て記憶するようにしている。そうすることで、丸ボーズになる確率を大きく下げることが出来るのだ。
川の水位や状況
渓流釣りが楽しめる大規模河川の多くは、県や自治体、漁協が設置している河川ライブカメラの映像をWeb上で確認することが出来る。こちらで水位を確認し、記録しておこう。
勿論、実際に現地を訪れた時の目視による濁り具合・河川状況も併せて記録しておこう。濁り具合と使用餌・釣果の因果関係が判るようになるはずだ。
記録するべき釣行内容
次に、釣行時に使用したタックル・エサ等の記録の仕方だ。ここにも渓流釣り特有の「記録すべき内容」が存在する。特にエサの項目は最重要だ。
実釣ポイント
こちらは先に記した支流名と入釣場所だけなく、釣り歩いた範囲と距離(大まか・体感でOK)、ヒットしたポイントをできるだけ細かく記憶し、それらを記載しておく。ここでもスマホ撮影が役に立つはずだ。
使用タックル
延べ竿の長さ・型番・調子、針の種類と号数、オモリサイズ、ヒットしたタナ(目印の位置等)は必須事項。その他、渓流釣りは水量が多い場合にワンランク太い糸を使用することが多いが、そういった記載を併せて行っておくと良い。
エサの状況
解禁直後~3月中はイクラがテッパン餌となるが、渓流釣りの餌はシーズンが進むにつれて、(種類の多い)川虫へとシフトしていく。川で餌採集を行った際に、どのような川虫が採れたか・大きさはどれくらいか、といった項目を記載しておきたい。
というのも、川で採集できる川虫は、実際にその時に渓魚達が食べている餌そのもの。釣果をアップさせたいなら、この餌を使用するのが一番の早道と言える。そのため渓流釣り記録では、この項目が最重要と言えよう。可能なら、持ち帰った渓魚の胃の内容物を調べ、その中身を記載しておくのも良い。
陸生昆虫の有無
「ヒラタやキンパクが大量に羽化していた」等の情報を記載しておけば、「次回釣行時に川虫が採れないかも→ブドウムシを用意しておこう」といった対策を立てることが可能となる。
また、陸生昆虫が多い=表層で食ってくる……といったように、大まかなタナを予測して流し方を変えることで、さらに釣果を伸ばすことが出来るのだ。バッタが多い時期になれば、現地採集のバッタで良型がヒットする可能性があることも付け加えておきたい。