北西風が吹き荒れる季節になると、伊勢湾や日本海の出船率は極端に下がるが、周囲を山々に囲まれている三重県の尾鷲湾では、ナギになることが多い。今回は引本浦から出船しているエヌテックマリンにお世話になり、近年注目を集めているボートヒラスズキ、そしてまだまだ楽しめているスイミングロックゲームを取材した。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)
ヒラスズキ釣りは不発
今回当初の取材でのメインターゲットは、ここ数年注目を集めている磯周りにボートを着け、キャスティングで狙うヒラスズキだった。ただ取材依頼をした際、エヌテックマリンの中井船長はやや困惑気味。実は中井船長にとっても、数年前から検証は繰り返しているものの、オオモンハタやアオリイカのようにやり込んでいるゲームではないため、シーズナルパターンやポイント選定で確固たる自信がないとのこと。中井船長にしては珍しい発言だったが、それでも「やってみましょう」ということで、12月13日に引本浦を訪れた。
今回の同行は一宮市のフィッシングタックル・カリプソの大宮好騎店長。大宮さんは学生時代を高知で過ごしており、その時に磯からのヒラスズキはみっちりやり込んでいたとのこと。
さてここで現在分かっているだけの、尾鷲湾におけるヒラスズキのパターンを紹介しよう。まず同所を訪れるアングラーがヒラスズキを狙い始めるのは年明けから。この時期は産卵絡みの大型が狙えるとあって、熱心に通うアングラーもいるらしい。中井船長が80cmクラスをキャッチしたのも2月だったとのこと。
そしてGWが過ぎるころになると、サイズが徐々に小さくなり40~50cmクラスの数が増えてくる。
狙いは磯際のサラシ。サラシとは波やウネリが磯にぶつかって砕け、真っ白に広がる白泡のこと。ヒラスズキはこのサラシの下に身を潜め、波にもまれて弱った小魚を待ち構えているのだ。使うルアーは9~14cmのフローティング、シンキングミノー。レンジが少し下であれば、バイブレーションやシンキングペンシルなども有効になる。
この取材日前日は全国的に荒れ気味で、当日も北西風が残る予報。いい感じのサラシを期待したが、出てみると意外や意外、海は真っ平のベタナギ状態。わずかな海面の上下でできるごく小規模のサラシがあるだけだ。
普段はウネリで真っ白になる湾口付近の磯周りも静かそのもの。大宮さんはわずかなサラシが広がるタイミングを計り、何度も抜群のタイミングでミノーを撃ち込んでいく。だが結果から言えば反応は全くなく、午前10時までランガンを繰り返したが、1度のバイトもないまま。時期が違うのか、サラシ不足か。まだまだ開拓途上の釣りだけに、今後の発展に期待したいところだ。ここで保険に考えていたスイミングロックゲームに切り替えることとした。
冬でも活発なロックフィッシュたち
この釣りのターゲットは、オオモンハタとアカハタ。と聞けば「夏の釣りじゃないの?」と思う人も多いと思う。
ところが黒潮の大蛇行、あるいは温暖化の影響か、この日でも水温は19度以上あり、まだまだ海は秋模様。数日前にも50cmオーバーのオオモンハタや40cmクラスのアカハタを含め好釣果が上がっており、まだまだ楽しめそうな気配なのだ。
投げて落として巻くだけ
ポイントは湾内。ヒラスズキのようにサラシをタイトに撃つ釣りではなく、ジグヘッドリグをボトムまで沈めただ巻くだけ。特にオオモンハタはベイトを追って中層以浅まで浮いてくることもあり、ボトムネチネチ……というロックゲームの概念から大きく外れたターゲットなのだ。
使うジグヘッドは25~40g。水深や潮の速さで使い分ける。ワームは3.5~4inchのシャッドテールタイプ。
カラーは青銀やオレンジ系、赤系などに実績がある。今回ジグヘッドはエコギアのスイミングテンヤ、ワームはバルト3.5inchと4inch、グラスミノーMを使用した。