キスは暖かい水温を好む魚で、砂浜海岸をはじめ、防波堤や漁港などで狙える釣りのターゲットである。今回は、伝統的な風合いが趣を感じられるレトロ竿を使ってキスを狙ったときの模様をレポートしよう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・牧野博)
実釣からみたキスの釣期
キスは暖かい海を好む魚である。すでに言い古された表現かもしれないが、今は周年狙える投げ釣りのターゲットだ。しかしチョイ投げも含み投げ釣りで確実に型を見ようと思えば、やはり5月の連休以降が手堅いところ。
6月になれば数、型ともにグッと充実し、海水浴で海開きの行われる7月までの間が、キスシーズン前半のハイライトといえるだろう。
ポイント選び
キスは砂浜海岸の釣りものというイメージが強い。それは決して間違いではないし、数釣りに向き、また多人数でも入れる、同じ釣り場の条件で競うという点で、競技会の会場に選ばれるのは長い砂浜海岸である。
しかしキスは砂泥底を好む魚なので、そのような条件のところであれば防波堤や磯、河口の護岸からも十分に狙うことができる。
少し大きな漁港の波止などで、周囲の状況をよく見てみよう。中規模くらいの川がその漁港内に流れ込んでいたり、すぐ近くに大規模な砂浜海岸がある場所なら、底は砂泥底であることが多く、適度にシモリもあってキスの好ポイントだ。ただ、キャスティング時の安全確認は充分にする必要がある。
また、キスは磯からでも釣れる。岩礁地帯の荒磯は無理だが、近くにキスが釣れる砂浜海岸があり、岩礁地帯の間の境界部分はなかなか面白い。釣れるキスの平均サイズでも砂浜海岸より大きめであるし、うまくすれば大型がくる可能性もある。
道具や仕掛けなど
竿は、手持ちの引き釣りで狙うなら、砂浜でも、防波堤や磯でも同じものでOKである。そのほうが、1本の竿を使いこなしてゆくという点では利点がある。リールも同様である。ただ、替えスプールには号数の違う道糸を巻いたものを用意し、状況によって使い分けられるようにすれば便利だ。
また、根がかりのない砂浜海岸から防波堤や磯場にポイントを移すときには、ある程度仕掛けの根ががり対策を必要とする。砂浜海岸で使うような多点バリの仕掛けは使えない場合も多いし、仕掛けの全長を短めにしたり、天秤なども浮きのいいものを使うなど工夫が必要である。
時期や海況による釣り場選び
シーズン初期はまだ水温が不安定なこともあり、浅場から深場、どこにいるかわかりにくい。砂浜海岸なら、中距離から遠投を中心に、幅広く探ることが必要である。初期は、遠投力で釣果が分かれることも多い。
こんな時期には、砂浜海岸の周囲の漁港波止のミオ筋を狙ったり、隣接した磯場の足場のいいところから水深のあるところを狙うと、若干確率を上げることができ、良型を手にする可能性も高まる。
また、7月後半から8月にかけては、海水温が高くなりすぎることも多く、砂浜海岸でも食いが落ちることがある。
これは海水温の急上昇により、海水中の溶存酸素量が低下することも一因であるが、そんなときに威力を発揮するのが比較的大きな川の河口の釣り場である。川の水が混じって水温が程よく保たれ、川の流れと潮の干満が合わさって潮の動きがよく、良型がくる確率が高く、真っ昼間にキビレなどの外道のおまけがつくことも多い。
天気の悪い日は諦めも肝心
今年のように台風の接近の時期が早く、大雨などで濁りが入ったり、うねりが来たりする場合もある。いずれもキス狙いの条件としては最悪で、こんなときは天候が回復しても釣行は難しい。インドアフィッシングで仕掛け作りや、竿やリールのメンテナンスをするチャンスである。
海況が回復して少し濁りが取れてきた状況でも、河口や砂浜海岸のポイントではゴミとの戦いになる。どうしても釣行するなら、砂泥底のエリアから外れない範囲で、河口からできるだけ離れた場所に入るのが良いだろう。その中で打ち上げられているゴミや海藻の少ない場所を選べば、何とか釣りにはなると思う。