根魚やシーバスや、その他の居着きの魚は全般に、「ここ」というピンポイントに着く。いずれも多少は回遊する魚なのだが、それよりも身を隠す習性が強いので、マヅメの釣りを除いて(あるいはそれも含めて)、ピンポイント打ちだ。打ち欠かせない5箇所を挙げよう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
キワの魚影が濃いゾーン
だらだらと長い堤防があるとする。見た感じ、変化のある場所はない。そんな場所でも、水さえあれば、魚は必ず居着いている。厄介なのは、だらだらと長い釣り場では、ポイントを絞りにくいことだ。キワに魚はいるはずなのだが、特に魚影が濃いゾーンはどこだろう?
なんとなく打っていっても釣果は伸びない。その上、本当に500m近くあるような堤防だと、往って帰っての往復で、かなり時間がかかってしまう。そのうちに時合いを逃す。筆者は最近、ピンポイントを打つために、時合いや急ぎの時間帯にはわざわざ堤防を走るようなことさえしている。釣るのが至上命題なので、恥も外聞もない。
すべからく見よ5つの地形変化
では、キワ打ちが重要な魚(居着きの魚)を釣るには、特にどんな場所を狙い打ちすればいいのだろうか?おそらくどんな釣り場にもいくつかある、5つのポイントを紹介しよう。
ケーソンの継ぎ目
堤防は一気にえいやっと造ってしまうものではない。下地を入れて、足場を組んで、という作業の上からコンクリートを少しずつ流していくので、必ずその工事の間に、「継ぎ目」というものができてくる。おそらく冠水を防ぐため堤防側への海水の吸収も意識されているはずなので、そういう場所はどんな釣り場にもある。
「ケーソンの継ぎ目」というと表現としてわかりにくいかもしれないが、要するに堤防に対してすっと縦の筋が入っているポイントだ。足元をよく見ると、たくさんある。魚はそんなちょっとした変化でも我がホームとする習性があるので、よくよく注意して打ってみよう。
えぐれ
継ぎ目と似たようなものだが、堤防に、構造としてわざと「えぐれ」がある場所や、海水に削られてえぐれができた部分がある。足場のマイナス方向へのえぐれだ。ここも根魚の一級ポイントなので必ず打つべしである。
凸凹(でこぼこ)
たとえば大阪北港の夢舞大橋の足元は、このような凸凹が入っている。
ここはチヌの一等地である。本当にうようよいるが、LTでは獲りにくい。シーバスもチヌも専用タックルを使い、強めに釣り切ろう。横引きするにはフローティングのルアーが望ましい。ワームではレンジキープしにくい上、レンジが入ると、魚がすぐ根に巻いてくる。
ゴム板
漁港や堤防にはほとんど必ず、船の勢いを殺して着岸させるためのゴム板がある。黒っぽく海側へ突き出した障害物だ。ゴム板もむろん立派な地形変化で、魚の溜まり場となる。
梯子や階段周り
海に落ちた人を救出するため(?)や、作業のためだろうか、堤防には梯子や階段が見られることもある。やや浅場になっていて、地形として手前がカケアガリになっているのが特徴的だ。あまり波が激しい場所にはない。波に乗ってきたプランクトンが滞留しやすい、いわゆる潮が緩んだ場所にあって、一帯はベイトフィッシュが集まる魚の食物連鎖の山をなす。
ただこのような露骨な地形変化は先行者にたたかれやすい場所でもあるので、プレッシャーがかかっているものである。釣れなければ固執せずにすんなりとあきらめてしまおう。
明暗もうまく打つ
常夜灯が海面を照らす範囲。植物性プランクトンが光合成し、メバルやアジがつく。明暗で言うと、「明」にアジ、「暗」にメバルなど根魚だ。キワは多くは必然的に「暗」になる。
しかし忘れてしまいがちなのは、明暗の明の沖や、明のボトム周りは、暗となっているということだ。明暗の途切れ目、そして海底をこつこつ叩きながら打つと、根魚が出やすい。