一口に「渓流釣りのハリ」と言っても、実に多くのバリエーションがある。これは、渓流という特殊な環境に対応するため、各メーカーが趣向を凝らした結果だ。今回は、数多の種類がある渓流バリの、エサや状況による使い分けにフォーカスしていく。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)
時期によるサイズの使い分け
渓流は季節によって大きく様相を変えるため、その時々にフィットした使い分けが大切だ。順にみていこう。
解禁直後
まだ水温が低く、場所によっては雪も残っている。渓魚達は活発にエサを追うほどの体力が無い為、3号や4号といった小さなハリが警戒されにくくオススメだ。イクラがメインエサとなるので、細軸タイプを選びたい。
4月~5月
徐々に体力を取り戻してきた渓魚達が活発にエサを追うようになり、20cmクラスも混ざり始める。この頃からエサは川虫がメインとなる。ハリサイズはキンパク(1.5cm程度)に合わせた5号をメインに、場所やエサによっては6号を使用すると良いだろう。
6月~7月
梅雨時になると警戒心の高い良型が姿を現す。エサもオニチョロやミミズ、クロカワムシ等、数cmにもなる大きなものを使用するため、著者の経験上6月に一番大きなハリサイズを使うことが多い。著者は忍ヤマメの6号や7号を使用している。尺上が狙える本流なら、8号~10号も選択肢に入る。
8月~9月
梅雨が終わり渇水期となる上、産卵を控えた渓魚達の警戒心は高い。ハリは目立たない色の物をチョイスしたいし、ハリサイズも6号~7号程度をメインに考えるが、使用するエサによってハリサイズを考えたい。時に小さなハリに小さなエサの組み合わせも有効だ。
水量による使い分け
渓流は天候に左右されやすいので、川の状況・水量によって使い分けを行いたい。特にハリのサイズは慎重に決めよう。
増水時
渓魚の一種であるアマゴは、漢字で書くと「尼子」のほか「雨子」と書き表す。アマゴに限らず渓魚は雨の後に警戒心が和らぎ活性が上がるので、良型が飛び出す可能性を考慮して一回り大きなハリを使用しよう。特に濁りが入った際に有効なミミズはエサが大きい為、必然的にハリサイズは大きくなる。
渇水時
水量が減ると仕掛けの流れがゆっくりになるため、渓魚にハリを見破られやすくなる。使用する餌により近いカラーで、できるだけ軽めの細軸タイプのものを選ぼう。また、ハリサイズはワンサイズ落としておいた方が無難だ。
ハリの使い分けは釣果に直結
渓流エサ釣りにおいて、著者が最も難易度が高いと感じるのは、間違いなくアワセの瞬間。どれだけアタリが出ても、魚の口にハリが掛からなければ何の意味も無い。上級者ほど「魚に近い場所からお金を掛ける」というように、ハリにこだわりを持ちつつ、状況によって臨機応変に対応することで、釣果は格段にアップするはずだ。
<荻野祐樹/TSURINEWSライター>