古くからまことしやかに語られる「海藻は髪にいい」という噂。実際のところどうなのでしょうか。
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古今東西、人々は頭髪に悩む
医療技術が発達し、体に関する様々なトラブルの解決策が見いだされるようになっても、いまだに人々を悩ませ続ける問題があります。その一つが「頭髪」。
御存知の通り、AGAなどの影響で男性は年齢を重ねると髪の毛が抜けやすくなり、ボリュームが減ってしまい外見に大きな影響を及ぼします。女性も男性ほど顕著ではありませんが、髪のボリュームやコシがなくなることが多いです。
頭髪に関する悩みの歴史は長く、かつてはあの古代ローマ皇帝シーザー(カエサル)も薄毛に悩み、月桂冠などの被り物をすることを好んだそうです。
「海藻は髪によい」
そんな「頭髪に悩む人々」が崇拝してきた食材があります。それは「海藻」。
若いころ、染色したりパーマをかけたりしてばさばさになった髪の毛を見た祖父母などから「ワカメやヒジキを食べなさい」と言われたことがある人は少なからずいるのではないでしょうか。というのは、我が国では古くから「海藻を食べると髪が黒く元気に生える」ということがいわれてきたためです。
現代でも、海藻成分を配合していることをうたう育毛剤は少なくありません。医療が発達し発毛薬が用いられるようになった現代でも、これだけ「海藻が髪に良い」と言われているということは、やはりそれなりの理由があるのでしょうか。
フコダインの効能
結論から言うと、海藻類に「髪の毛にとって良いとされる成分」が多く含まれているのは間違いありません。
海藻類の中には、頭髪の成育に欠かせない亜鉛やヨードといった必須ミネラルを多く含んでいるものが少なくありません。また、近年あらゆる育毛剤に添加されている有効成分「フコイダン」は、コンブの仲間に多く含まれています。
ただし、これらの成分はいずれも「頭髪の原料として機能する」あるいは「毛根の細胞を刺激する」といった、頭髪に対して副次的な効果を示すものです。発毛機能そのものを促進させるというわけではないことに注意は必要でしょう。
海藻だけでふさふさとした頭を復活させるのは、やはり容易ではないと言わざるを得ません。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>