アジングでは主に、他のラインと比べて比重の高いエステルラインを使用する。このエステルラインは弾性に乏しいという弱点がある。すなわち、引っ張るとすぐに切れる。瞬間的な負荷に弱いのだ。よって、ショックリーダーをつけて使用する。しかし、沿岸で釣るアジのサイズはまあ20cm程度と小さめが平均的。エステル直結で使えないのだろうか?
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
基本はショックリーダーがいる
結論からいえば、エステルラインをジグヘッドに直結して、アジを釣ることもできる。筆者もライン号数0.3号、0.25号くらいと細めのエステルで試しているが、難なくアジは釣ることができる。
ただし、それでも「やめておくべし」と思う。絶対的にショックリーダーを結ぶべきである。もし、その海で釣れる魚が本当に15cm~20cmくらいのアジオンリーで、根に潜られる場所的な条件がなく、足元にもなんら障害物がないなら、直結でもOKだと思う。
ただ私のこれまでのアジングの経験上、そんな理想的な場所で、アジしか釣れないということはない。ボトムでは常にカサゴがくる。少し足元に入れても、カサゴがくる。そうなるとアウトだ。根ずれに弱いエステルラインの直結は、根魚がくると終わり。やはり40cmくらいのショックリーダーがなければ、安心して使えない。
エステル直結で「小さなアジ」は釣れる
アジングはドラグを緩めに入れて、イトを出す釣りである。強めのドラグで一方的に引っ張ってこようとすると、口周りが脆いアジはすぐに口破れしてバレる。またその小さなバイトを吸収するためにも、やはり、ドラグは強めに入れることはできない。
よって、ドラグに気を付ければ、貧弱なアジのバイトだけではエステルラインが瞬間的な力に負けて切れることはない。筆者はエステル直結であまり大きなアジを釣ったことがないのでわからないが、少なくともプランクトンパターンの20cm級まで、歯もそこまで発達していないアジならば、エステルを噛み切ることもないだろう。ただ、これが時合いの回遊性の高いアジ、歯が発達したセグロならば、一気にエステル直結はリスクとになる。
危険性を頭に入れて
経験上、エステルライン直結でも、アジは釣ることができる。しかし、筆者が何よりエステル直結を根本的に勧められない理由は、そのときに釣れるアジの群れの傾向による。
沿岸で釣れるアジは、時間帯によって挙動がかわる。群れが何度か入れかわるタイミングがあるのだ。マヅメは回遊性の高い群れ、常夜灯下では居着きのアジ、その他大型ゲストに狙われているアジ、などなど。
ここで挙げたすべてのアジは、すべてエステル直結で釣るには不安があるが、中でも居着きのアジに怖さがある。アジを複雑な地形変化周りで釣っているとよくわかるが、ある程度のサイズから上は、根に潜ろうとする挙動を見せる。実はかれらは、あの小さい頭の中に、ラインを切るための地形変化や泳ぎ方を、頭に入れているのだ。私の印象では、居着きの良型は、最後の最後で足元に潜ろうとする。あれも、岸壁にイトを擦ってラインを切ろうとするからではないだろうか。
この小魚の、そうした「賢さ」まで考えると、やはりエステル直結は不安なのだ。切られてパーにしてしまうジグヘッドリグも、100円を下回ることはないだろう。安くはない。