タラコはタラの子、イクラは鮭の子ですが、数の子は……いったい誰の卵なのでしょうか?数の子について調べてみました。
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名前の由来
では話は数の子にもどり、なぜニシンの子が「数の子」っていうのか見ていきましょう。
実は数の子の「数」はタラコのタラと同じように、ニシンのことを指しています。
というのも、ニシンは前述のとおり「かどいわし」「かど」と呼ばれています。これにより、数の子は「かどのこ」呼ばれていましたが、いつの頃からか「かど」が訛り、だんだんと「かずのこ」になったと考えられています。
また、「数の子」の「数」は、卵の数が多いニシンへの当て字にされたとも言われています。
おせちの定番の理由
数の子といえば、「おせち」ですが、なぜおせちの定番メニューになっているのでしょうか?
それは、「ニシンの卵の数がとても多い」からです。
おせちに入る数の子には、”子孫繁栄”の願いが込められており、「子宝に恵まれますように」「子供がたくさん生まれてますように」「家族がずっと続きますように」などといった願掛けになっているのです。
ニシン1尾の産卵数は他のサカナの産卵数に比べてはるかに多く、鮭の一回の産卵数である3,000~4,000粒に対し、ニシンは3万~10万粒ぐらいと言われ、はるかに産卵数が多いのです。
さらに数の子だけではなく、ニシンも願掛けになっており、ニシンの響きから「二親」と当て字をし、二人の親に子どもが生まれますようにという願いが込められているという説もあります。
数の子は家族が健やかに賑やかに続いていくことを祈願したとても縁起のいい食べ物なのです。
中身を知ると食べたくなる
数の子だけでなく、おせちの具材はいずれも縁起のいい意味が込められています。
あまり興味のない人はもっと味の濃いものが食べたいとか、洋食の方が良いとか思うかもしれませんが、おせち一つ一つの意味を知るときっともっと食べたくなると思います。
おせちは日本人として世界に誇れる素晴らしい文化ですね。
<近藤 俊/サカナ研究所>