北海道で開催された「お魚のベストイレブンを選ぶ」イベント。選ばれた11種の中に、全国的な知名度はほぼ無いものが1つだけあります。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
「HiFA2022」のベストイレブンが選出!
北海道の中南部に位置し、太平洋に突き出す形をしている日高振興局。漁業が盛んで、サケやカニをはじめとしたさまざまな魚種が水揚げされます。この日高振興局で先日、当地の水産業をより広く知ってもらうことを目的としたイベント「HiFA2022」が開催され、話題となりました。
HiFAとはHidaka Fish Awardの略で、日高管内の代表的な水産物23種類の中から「日高代表」にふさわしいものをウェブ投票で選んでもらうというものです。水産物はサッカーの4つの配置である「ゴールキーパー、ディフェンダー、ミッドフィールダー、フォワード」のそれぞれごとにノミネートされており、各ポジションにふさわしい選手(水産物)が投票によって選ばれています。
これはもちろん「FIFA2022 ワールドカップカタール大会」の開催にかけたものです。
ベストイレブンに選ばれたのは?
今回のベストイレブンのフォーメーションは、日本代表がワールドカップ予選でしばしば採用していた1-4-4-2。ゴールキーパーにはケガニ、ディフェンダーの中央二人(センターバック)はタコとマツカワ、左のサイドバックにツブ貝、右にウニが配置されています。
中盤はセントラルミッドフィールダー(ダブルボランチ)にスルメイカとホッケ、左のウィングにシシャモ、右ウィングがサバ。フォワードの2者にはサケとマグロが選ばれたようです。
このフォーメーションで行うサッカーを選手から推測すると「運動量とスタミナのある2トップが激しく上下動を繰り返し、足の多いタコと幅広いマツカワのセンターバックを中心に粘り強い守備をしながらカウンターで点を取る」ようなパターンが考えられるでしょう。
マツカワとは何者?
さて、このベストイレブンを見たときに、多くの人が思うのはきっと「マツカワって誰?」ということではないでしょうか。
マツカワはマツカワガレイとも呼ばれるカレイの一種で、島根県・茨城県以北に生息する北方系の魚です。最大で70㎝ほどにまで成長する大型種で、体色が黄色みがかること、ヒレに黒い縞模様があることが特徴です。
このカレイの最大の特徴はずばり「味が良いこと」。カレイ独特の濃厚なうまみと、縁側を中心にたっぷり乗った脂が魅力です。この味の良さからカレイ類では屈指の高級魚となっており、刺身用として鮮魚・活〆物として流通することが多くなっています。北海道に行ったら是非食べてほしい魚の一つと言えるでしょう。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>