伊藤さとしのプライムフィッシング。テーマは「両グルテンの底釣り」。今回はあえて硬めに作ったグルテンとハリ付け方法について考えてみよう。
(アイキャッチ画像提供:週刊へらニュース伊藤さとし)
エサ持ちと水分量
仮に粉の比率は同じでも、水分量を変えるだけで別のタッチに仕上がるのが練りエサの特徴でも面白さでもある。それはグルテンでも変わりはないはずです。前回は、底釣りはどちらかと言えば硬めのエサがいい、もしくはある程度比重があり、繊維が強くエサ持ちがいいタイプが向いているという話でした。
それは理解できますがたとえばボソっ気のあるグルテンを硬めに作ってもダメですか?現に新べらグルテン底なんて、その代表格的なエサだと思うのですが?
「いいこと言うね。まさにそこだよ。近年、新べらグルテン底を単品で使う人が減ったのは、前述したとおりブレンドすれば単品よりも簡単にエサが持たせられるからだと気づいたからだよね。たとえばわたグルとか凄グルなんかをね」
言い換えると、新べらグルテン底単品ではエサ持ちが心許ないせいですか?
「時と場合にもよるけど、そう感じる人が多いからじゃない。でもね、新べらグルテン底であっても、作り方やハリ付け一つでさらにエサ持ちをよくすることだってできるんだよ」
それが水分量ですか?
「そういうこと。ただし水分量の少ないグルテンはハリ付けがしづらくなる。だからついつい手もみの回数が多くなりがちなんだよね。グルテンはあまりいじったらよくないって頭の中で理解はしてるから、なるべく手もみしないで付けようとする。するとハリ付けがうまくいかず、結局はエサが持たないと悪循環に陥るんだよね」
硬めのエサは上刺しで
では、水分量の少ない硬めのボソエサはどうハリ付けすればいいのでしょうか?
「指先を手水とかで濡らさない。余計にハリ付けしづらくなるけど、これは絶対守ってほしい」
なぜですか?
「硬めのエサはすぐに水分を吸収するから、せっかくのボソタッチが生きないんだよね」
なるほど。次は?
「ハリ付けする適量をつまんで簡単に形状を整えたら、あとはハリを上から刺しこむだけ。何ならチモトだけを押さえてもいいけど、あまりやり過ぎると表面にネバリが出てくるから、できればあまり触らない」
下から引き抜くのでなく上からハリを刺すだけですか?
「そうだよ。なるべくエサの中心にね」
どうして引き抜きではないのですか?
「引き抜くとどうしても硬めのエサは形状が崩れるから、それを整えようと再び手もみをしてしまうんだよね。これでは意味がない」
なるほど。糸を通すようにハリをエサに刺せば割れ目ができないから形状が崩れにくい。そういうことですね?
「さらに崩れないから手もみもしない。ゆえにボソっ気も残る」
でも手もみを加えないとエサ持ちが悪いのでは?
「それを遅らせるために硬めに作ったんじゃない。忘れたの?」
なるほど。
「今回は新べらグルテン底を例にしたけど、いもグルテンだって同様に作ればボソタッチのいいエサに仕上がる。これから春の大型狙いでは、きっと役に立ってくれるエサだと思うよ」
あまりいじらず付けよう
硬く作るといいのはボソ系だけですか?
「そんなことはない。たとえばアルファ21。このエサだって粉1水1などで作って、あまりいじらずに上刺しすればエサ持ちがいいのに膨らむタッチに仕上がるよ」
つまりどんなエサであっても、ハリ付け時に上刺しをすれば割れ落ちを最小限に抑えられるということですか?
「上刺しの利点はそこだよね。ただし片手でのハリ付けが不可能になるし、ボソタッチだと指先がグルテンだらけになりがちだから竿尻まで汚すはめになるけど(笑)」
そうなんですよね。差し込むハリ付け方法だとエサを固定するのに、どうしてももう片方の手が必要になり、強いてはその手も汚れてしまう。だから埋め込みを毛嫌いする人も少なくないのでしょう。
「でもね。硬めのエサだとこっちのほうが断然いい場合が多いよ。とくにグルテンではね。まあ汚れた手や竿尻なんて洗えば済むのだから」
次回は「春はグルダンゴが面白い」です。
<週刊へらニュース伊藤さとし/TSURINEWS編>