伊藤さとしのプライムフィッシング。テーマは「両グルテンの底釣り」。今回はその原点とも言える、グルテンの特性について弱点も含めて考えてみたい。
(アイキャッチ画像提供:週刊へらニュース伊藤さとし)
特徴と弱点
そもそもグルテンとはどういうエサか?なぜ厳寒期のヘラは両ダンゴを嫌い、グルテンを食うのか?今回はそんな疑問を抱いたので伊藤名人に問うてみたい。
「ははは(笑)。名人とはよく言ってくれたね。本当は迷人とでも言いたいんでしょ」
そんなことはないですよ。いつも尊敬のまなざしで見ています(笑)。
「冗談はそのくらいにして、グルテンとはどういうエサかって。両ダンゴと決定的に異なるのは繊維だよね。つまりグルテン繊維。これがあるから強度の違いはあるにしてもエサ持ちがいい」
でもダンゴだって練れば持つじゃないですか?
「でも開かなくなるでしょ。膨らみも悪くなるしね。でもグルテンならそのあとに繊維がハリに残ってくれる。もしくは綿アメ状に膨らんで崩壊しそうになるのを繊維が保ってくれる」
つまりエサ持ちがいいのにアピール力があるってことですか?
「そういうことになるね。麩系のような集魚力は少ないけど、膨らみとか開きとか、そっちのほうでアピールできる」
つまりそれが低水温期の魚に効くと?
「そういう関連性で言うなら軽さもそうだね。ダンゴと比べて圧倒的に比重が軽いから、食い渋った魚でも吸い込みやすいとなるよね」
つまり軽さと膨らみとエサ持ち。この3点がダンゴとは決定的に異なる点なわけですね。
「いもグルテンのように重いエサもあるけど、それにしたってダンゴの底釣り夏・冬と比べたら軽いよね」
特製イコール弱点?
でもヘラはバラけるものに反応する性質を持つ魚ですよね。ところがグルテンはそこまでバラけない。なのに釣れるっておかしな話ではないですか?
「そこが低水温期の釣りの妙なんだよね。バラけるものに反応するのは夏も冬も変わりはないけど、食べる絶対量が盛期と厳寒期では圧倒的に後者のほうが少ない。だからバラけ過ぎると、その粒子だけで満足してしまい肝心のハリの付いたエサのほうに近づいてこない。これはわかるよね。だから段差のセット釣りなんてものがあるのだからね」
はい。距離感の話ですよね。今までも何度も勉強しました。つまり厳寒期にダンゴを使うと、いつまでたっても距離感が縮まらないって話ですか?
「そういうこと。要は適度な開きとアピール、そして近づいてきたときの食べやすさ。つまりは軽さなんだけど、これが総合的に備わっているのがグルテンエサってことなんだよね。でもね、弱点もあるよ。それが軽さと繊維なんだけどね」
特性がイコール弱点にもなると?
「まずジャミに弱い。これは分かるよね」
はい。繊維が残るからいつまでもジャミがハリから離れません。それに軽いから、時にナジまない時もあります。
「夏にグルテンを使うとよく分かるんだけど、ほとんど釣れないよね。バラケ性のいい両ダンゴのほうが圧倒的に釣れるでしょ。それって軽さもあるんだけど、要はバラけないからなんだよね」
冬に大敵だったバラケ性が、水温が上がるとともに必要性が増してくる。つまり魚の活性が上がるほどバラケ性も必要になるってことですよね?
「そういうこと。だからこれから春本番に向かって、徐々にグルテンであってもそういう傾向が増してくるってこと」
であれば個々のグルテンが持つ特性をうまく利用して、これからの時期に最適な特性で釣っていきたい。ゆえにブレンドの違いが生まれる。そいうことですね。
「おー。完ぺきにまとめ上げてくれたね(笑)。ゆえに実釣時もそうだったけど、ちょっとした重さと開きの違いでアタリの出やすさが異なったりしちゃうんだよね。そのくらい低水温期のヘラはシビアだってことなんだけどね」
しかもそれを底で食わせるのが今回のテーマですよね?
「そうなんだよね。宙釣りとは異なる部分も多くあるから、次号ではおもな注意点などを考えていこうか」
よろしくお願い致します。名人!
「まだ言うか!」
次回も「両グルテンの底釣り」です。
<週刊へらニュース伊藤さとし/TSURINEWS編>