【中古釣り具】のメリット&デメリット 購入時の確認ポイントも紹介

【中古釣り具】のメリット&デメリット 購入時の確認ポイントも紹介

様々なもので中古品を活用することが一つのブームになっている昨今、釣りの世界でもここ十数年で中古品の市場がかなり拡大してきたように感じる。ここではそんな中古釣り具のメリット、デメリットや購入時のポイントについてまとめてみた。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター牧野博)

アバター画像
牧野博

初めて投げ竿を持ったのはもう50年近く前、関東で就職してからクラブに入会し、投げ釣りの面白さに魅了されました。根掛かりの多い砂地の磯場や河口内でわざわざ引き釣りをするという特異な習性があるほか、秋にはヘラ竿を持って汽水域を徘徊することもあるようです。

×閉じる

その他 お役立ち

サオについて

まずはサオに関してのチェックポイントを紹介しよう。

素材のダメージを確認

ブランクス全体をよく見て、傷の程度を確認する。折れた部分を補修した箇所は、塗りが厚くなっていたりするのでわかる場合が多い。また、特に注意したいのがサオの継ぎ目。ここは、キャスト時にストレスがかかる部分なので、口割れがないか、しっかり確認したい。小さな口割れでも、破損の原因になる。ガイドなしの振出ザオなどでも、細身で肉の薄い軟調のサオなどは、特に注意して確認する必要があると思う。

【中古釣り具】のメリット&デメリット 購入時の確認ポイントも紹介ブランクスの状態を確認(撮影:TSURINEWS編集部)

ガタツキや異音、継ぎ目の具合

並み継ぎやインロー継ぎのサオの場合でも、振出ザオ(磯のチヌザオやグレザオなど)でも、必ず完全に伸ばしてみる(店のスタッフの方に許可をもらってついてもらった方がいい)。その時にガタツキや異音がある場合は、購入を見送ろう。店のスペースは広くないので、穂先などを天井などに当ててしまわないよう注意。

また、継ぎ目のつながり具合は必ずチェックする。継ぎ目についてはいろいろな考え方があるが、以前、ある先輩のキャスターから、「継ぎ目の緩いサオは絶対に買うな」と言われたことがある。投げザオで遠投する時には、バットガイドから穂先までは大きく曲がり、そして瞬時に復元するからである。

理想的には、並み継ぎの場合、少し固めだがしっかりと込みいっぱいまで差し込めるという感触だろうか。また、固くなった継ぎ目は調整できるが、緩くなってしまったものを固めにするのは難しいので、とくに遠投用のサオの場合は、継ぎ目のつながり具合を十分に確認したい。

【中古釣り具】のメリット&デメリット 購入時の確認ポイントも紹介継ぎ目をチェック(撮影:TSURINEWS編集部)

ガイドの状態を確かめる

特に注意したいのが、ガイドの脚の部分の腐食と、ガイドリングである。ガイドリングは、小さな傷が入っているだけでも、キャスト時のイト切れに直結するので、しっかりチェックしたい。投げザオやルアーロッドなど、激しいキャストと長いミチイトのリーリングを繰り返すサオではなおさらである。

ガイドの脚が腐食している場合などで、サオのブランクス自体は問題がない場合、もしガイドのスレッド巻きの経験があるのなら、購入後に問題のあるガイドのみを別に新品購入して自分で交換することができる。また、思い切ってサオの使用感をかえて見るのであれば、全ガイドを外して、最新のガイドシステムにチェンジするという手も考えられる。

富士工業からは、投げ用やルアーキャスティング用のガイドセットも市販されている。ガイドシステムをかえると、キャストした時の感触は大きくかわるはずだ。

【中古釣り具】のメリット&デメリット 購入時の確認ポイントも紹介ガイドの状態も重要(撮影:TSURINEWS編集部)

リール(スピニングリール)について

続いてスピニングリールに関してのチェックポイントを紹介したい。

回転の状態を確かめる

ハンドルを回してみて、ゴリ感や異音が出ないかを確認する。実釣で使用する時には、さらに仕掛けの重さ(投げ釣りの場合は特にオモリの重さ)や魚の抵抗、水圧や潮の流れなどの力が加わるので空で回している時とは感触が変わるが、店頭でハンドルを回した時点でまず違和感がないことを確かめることが必要。

例えば投げ専用リールでも、磯投げの大物狙いなどで酷使されたのではないかと思われるが、回してみると、明らかにギアの摩耗が感じられる場合もある。このようなものは避けた方が無難である。また、かなり古い年式のリールでも、ベアリングが3個以上入っているモデルであればまずまず使えると思う。

【中古釣り具】のメリット&デメリット 購入時の確認ポイントも紹介回転の状態を確認(撮影:TSURINEWS編集部)

ベールがきちんと動くかを確認

ベールの取り付け部分にはバネが入っているが、このバネが破損していたりすると、キャスティング中にベールが返ってイト切れを起こすので、ベールがばねの反発によって鋭く作動するかを確認する。逆に考えるならば、普段キャストする時に、オモリや仕掛けの着水後にベールを手動で返す癖をつけていれば、ベールの痛みは少なくなるといえる。

ラインローラーの回転状態

最近の中級以上のモデルだとラインローラーの軸にベアリングが入れられているものも多いので比較的安心だが、古いモデルだとラインローラーが固着してしまっているものもよく見受けられる。指の腹の部分で軽く回してみて、回転しているかどうかを確認することができる。

塩分が溜まりやすい場所なので、ここが完全に固着しているような場合は、後で注油してもスムーズな回転が復活しない場合も多い。ラインローラーが固着していると、ミチイトがダメージを受けやすいくなるので、確実にチェックしたい。

【中古釣り具】のメリット&デメリット 購入時の確認ポイントも紹介ラインローラーの動きは大丈夫?(撮影:TSURINEWS編集部)

このほかにも、ドラグを多用する釣りであれば、ドラグのきき具合などを店のスタッフの人に聞いて確認することもできる。

なお、リールは精密機械なので、中古で購入する場合、同じ機種が2台同時に出ていたら、私は可能であれば2台購入する。そうすれば替えスプールが取れるし、作動状況のいい一台を実釣で使用し、もう一台は保管しておいて部品取り用として活用することもできる。

リスクを理解して活用

サオとリールについて、中古品を購入する時の主なチェックポイントについてまとめてみた。中古品を探したり購入したりするのは結構楽しいことであるし、掘り出し物が見つかることもある。しかしその信頼性については、ある程度のリスクがあることを充分理解する必要がある。

あくまでリユース品であり、メーカーが保証する新品とは違う。そのことを充分に理解した上で、可能な限り自身で手に取って目で確かめることが大切だ。最近、ネットオークションも盛んで、画面上で沢山の中古タックルの情報を知ることができる。ほとんどの出品者の方は正確なコメントを出しておられると思うが、実物を手にとって確認できないというリスクがあることは留意するべきだろう。

また、レトロなモデルで、どうしても手に入れたかったものであるなら、ちょっとした補修(例えばガイドスレッドや口巻きの糸の巻きなおし、リールシートの交換など)は自分で行うと面白い。釣行できない時のインドアフィッシングの楽しみになるし、サオの構造などをじっくり観察することができる。

例えば継ぎ目の部分の補強の様子や穂先のテーパーの様子、元ザオの肉厚、ビジュアルな面ではスレッドによる飾り巻きのデザインなどを再発見できることもあり、より愛着が湧くのではないかと思う。

<牧野博/TSURINEWSライター>