夏に人気のケンサキイカは、ところかわれば釣り方もかわり、場所をかえていつもと違う釣りを楽しむこともできる。今回は、私のよく行く愛媛と鳥取の違いを紹介しよう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター濱堀秀規)
ケンサキイカは大人気
釣りをしない友人から「夏からの釣り対象魚は何?」と聞かれるとこう答える。「初夏からは、うろこのない魚よ」質問者は一瞬「?」な表情になる。ここで少し間を置いて、「イイダコやケンサキイカよ」と教えてあげる。
その後の会話はこんな感じ……「はーそう。でもイカって冬じゃないの?」「冬のイカは、アオリイカやコウイカ(スミイカやシリヤケイカ)がうまいね。夏の夜遊びは、高級イカのケンサキイカよ」「高いのよね?」「家の近くの和食店○○屋で盛り付けてもらうと1匹5千円するよ」「そうか、思い出した。確かに透明感があって、コリコリして、うまみがあって、最高だったわ」
「じゃあ今度行く?」「行く行く。釣り方教えて」あっという間に人が釣れてしまう人気である。
場所による狙い方の違い
このように大人気のケンサキイカであるが、釣り場によってサイズや数、釣り方、仕掛けなどなど、かなり様子が違う。
私が遊びに行っている釣り場(海域)は、メインが四国西南部愛媛県日振島沖と、日本海鳥取県境港沖だが、本州を挟んで北と南だと、その違いも顕著だ。とはいえ、海域ごとにそれぞれ特徴があり、両方大好きなフィールドなのだ。
今回は私のよく行くこの二つの釣り場の違いを紹介したい。
釣れる数とサイズ
四国は、時期の早い梅雨明け前くらいから出る船もあるので、サイズは小さいが数がたくさん釣れる。近年は一人60匹とか100匹の釣果もある。昔は200~300匹では少なすぎ、「500匹は釣らないと!」といわれていたが、最近は遊漁船の数が増えたことや、早い時期から漁師が網を引くので、50匹釣れたら上等と思っている。
だいたい皆が釣れる。初めての女性や子供でも釣れる。7月下旬に釣行したときは、38杯だった。同行した皆もよく似た釣果だった。
一方日本海は、型は大きいが、数は少ない。しかし魅力は、ビッグサイズの胴長40cmオーバーが、1匹は皆に混じる釣りができるところ。8月中旬の釣行では、私は10匹。竿頭の釣友は18匹。後のメンバーは16匹、10匹、10匹、8匹、6匹という釣果だった。
船の流し方
日振島沖では、シーアンカー(水中パラシュート)で船を潮に流しながら移動して、線的に狙っていく。対して日本海では、イカリで一カ所に固定して、一カ所で待つ釣りである。
この違いにより、釣り人が受ける潮の速さが違う。日本海では、船を止めるので、潮の流れをダイレクトに受ける。速い流れに対抗する仕掛けや釣り方になる。斜めの釣りになる。
一方、日振島沖はシーアンカーで潮を受けながら船をゆっくり流すので、流れが打ち消され、潮が止まったり、ゆっくりに感じる。縦に真下を攻める釣り方になる。
仕掛けと狙うタナ
日本海のメインはオモリグフカセと呼ばれる。40号のオモリを50mくらいの底までトンと落として、オモリの先からスッテやエギを一ヒロ吹かせてる釣りである。流れが速い潮に対応するには、重いオモリと、底を釣る釣り方となるのだろう。
四国の日振島では、イカスッテ3段仕掛けである。一番下には10~25号のオモリスッテをつけて、上には浮きスッテを2段につける仕掛けである。活性が高いと、2匹や3匹同時に釣れることもある。
潮が緩いので、海面から20m前後の浅場を狙う。船の漁り火が明々と届いている5~7mで入れポンになることもあり、浅場を狙うのが基本である。ベイトを追い回すケンサキイカが見えることもしばしばである。
浅場を狙う理由はもうひとつある。仕掛けを底まで入れるとフグが食い上がってくるのである。アタリがないからと仕掛けを深く入れると、底のフグを上まで誘い出すことにもなり、スッテがボロボロにかじられて、予備のスッテがいくらあっても足りなくなるからである。