車を横すべりさせながらカーブを駆け抜けるテクニックを「ドリフト」と呼ぶが、実は釣りでも同じ名前のテクニックがあるのをご存知だろうか。車のドリフトと違い危険なテクニックではないが、繊細なルアーコントロールを必要とするいわば高等テクニックになる。言葉にすると非常に難しい釣りのイメージがあるが、コツをつかめば誰でもできるし、釣果も上がるはずだ。では、そんなドリフトテクニックとはどういうものなのかをできるだけ優しく紐解いてみたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・宮坂剛志)
ルアーと糸を操る
水に浮かぶルアー(フローティングミノー)を河川などで正面に投げれば、左右どちらかに流れていく。少し速く巻けば流れが当たったルアーは横にスライドしながら戻ってくる。これをコントロールするのがドリフトだ。
シーバスが潜むであろう、橋脚の周りや街灯が水面を照らす明かりの境目付近。ここへ川の流れを利用してドリフトさせながらルアーを流し込めば、普通にルアーを打ち込むよりもはるかに釣果は上がる。それには糸やルアーをメンディング、つまり釣り人が上手く操ることがポイントになる。
なぜドリフトなのか?
シーバスは街灯の明かりが照らす水面の暗い部分にいて、明るい部分を通る小魚などを襲うのが基本だが、夜でも明かりに照らされた水中はよく見える。そんな所へダイレクトにルアーを打ち込んでも、すぐに「偽物が泳いでいる」と見切られてしまう。そこで、魚の手前でルアーを横すべりでターンさせて、ルアーを見せる時間を短くすれば、思わず食い付いてくる。イメージはそんな感じだ。
また、川の流れを利用するのでより自然に違和感なくシーバスの目の前へルアーを通すこともできる。コツは、狙ったポイントの手前でターンさせてドリフト状態を作り出すことにある。これには練習あるのみだ。
おすすめルアー
ミノー、シンキングペンシル、バイブレーションなど、ほとんどのルアーでこのドリフト釣法は可能だが、筆者はフローティングミノーが1番やりやすいと感じる。なぜなら、巻かなければ潜らないからだ。上手くやれば、そのまま水面にルアーを浮かべて流すだけで釣れることもある。これは本当だ。
シンキングペンシルやバイブレーションは、基本的に巻かなければ沈んでいく。なので、流れを感じにくいし、ほっておけば根掛かりの危険もある。しかし、沈まないフローティングミノーなら流したルアーを目で確認することもできるし、巻けば手元に流れを感じやすく、初めてドリフトに挑戦するにはこれ以上ないルアーだ。なので、フローティングミノーから練習すると上達も早い。
釣果を上げるためには
この釣りで1番重要なのは、「どこでターンさせるか」だ。つまりルアーをドリフトさせる位置が大切だ。水面の明かりの境目ならば、奥なのか手前なのか。橋脚付近を狙うなら、どの付近まで流しこむのか。など。
少し難しいが、シーバスがどこにいてエサを待ち構えているのかを想像すれば、意外と簡単だ。実際のテクニックは練習あるのみだが、頭でイメージする釣りならどこでもできる。この頭のイメージと実際のテクニックが上手くいった瞬間は快感だし、魚が釣れればサイズに関係なく嬉しいものだ。
シーバスフィッシングは奥が深く、楽しみ方は人それぞれで底がない。ドリフトテクニックも数多くある楽しみ方の1つととらえれば、難しさも楽しさに変わるに違いない。
<宮坂剛志/TSURINEWSライター>