シーバスフィッシングでとても重要な役割を持つもの、それはやはりベイトだ。つまり、シーバスが捕食している生き物は何かを見つけることがキーワードになる。これが分かれば苦労はしないのだが、逆に言えばこのベイトを知ればシーバスに近付くことは間違いない。そんなわけで以前にも書いたが、シーバスの代表的なベイトと筆者のおすすめルアーをいくつか取り上げてみた。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・宮坂剛志)
代表的なベイト6選とおすすめルアー
それではさっそくベイトを紹介してみよう。おすすめのルアーはあくまで参考程度に見てほしい。
イナッコ(ボラ)
全国どこにでもいるおなじみのベイトだ。寒さや汚染にも強く、好奇心も強いため、たまにルアーにもヒットする。春先の幼魚はハクといって魚体が小さく、この時期は釣れたり釣れなかったりするので難しい。秋口になればそれなりに大きくなり、シーバスも産卵に向けて食欲が上がるので慣れないうちはこの時期の方が釣りやすい。
春先~初夏ならば、小型のミノーかバイブレーション。秋口のイナッコサイズならば、やや大きめのフローティングミノー、表層系の受け口タイプのルアーなどもおすすめだ。状況に応じてヒットルアーを見つけよう。
ハゼ
ハゼは夏から秋にかけて河川でよく釣れる。人間が食べても美味しく、天ぷらが最高だ。ベイトとしても優秀で、冬場のエサがなくなる時期にはこのハゼを捕食しているシーバスが多い。
イナッコのように泳ぎ回る魚ではなく、基本はボトム(底)に張り付いている。それを考えると、ボトムを狙えるバイブレーションやワーム系がおすすめだ。
カニ
暖かくなると巣穴から出てくるが、ベイトとしてはなかなか難しい。それは、カニだけを食べるわけではないからだ。しかし、イナッコやエビなどがあまり見当たらない場所ではカニを狙ってる場合があるので覚えておきたい。
これも主にボトムを狙えるルアー、特にバイブレーションがおすすめだ。また、ボトムに着底させて竿を煽ってルアーを跳ねさせるのもありだ。
アミ
いわゆる小さいエビだ。1年中いるが、エサの少ない冬から春先の河川ではこのアミが重要なベイトとなる。よく見ると霧のように大量に群れているのがわかるが、ルアー選択が難しくなる。
主に小型のシンキングペンシルが有効だが、バイブレーションをゆっくり巻いても釣れたりするので、こちらも状況に合わせてルアーを使ってみよう。
コノシロ
秋にコノシロが河川に入ると大型のシーバスが釣れるチャンスが広がるが、あまりにも大きな群れになるとルアーに見向きもしなくなる。こうなるとお手上げだ。ビッグベイトや表層系のルアーでとにかく目立たせるか、群れの下を小型のバイブレーションを引いて、群れからはぐれた小魚を演出するしかなくなる。
小さな河川なら入る群れも小さくて逆に釣りやすくなるが、こちらも目立つような動きの大きなルアーがおすすめだ。
イソメ類(バチ)
冬場の満潮時など潮が大きく動く夜に産卵し、それを通称「バチ抜け」という。冬の川をユラユラと流れるイソメは、寒くて動きの鈍いシーバスには絶好のベイトとなる。細身の専用ルアーを使うのが普通だが、スリム系なら専用ルアーでなくても釣れたりもする。レンジ(魚のいる深さ)を意識して、ルアーを選択するのがバチ抜けのポイントだ。
ベイトを知る重要性
こうしてベイトを知ることはシーバスフィッシングにおいて重要だ。それは、シーバスも生き物だからである。当然何かを食べなければ生きていけないわけで、その食性に迫るのは基本中の基本だ。
これを覚えておくだけで、季節ごとのルアーやタックル、ポイントの選択が知らないうちに身に付くようになる。釣れなくて迷ったら、まずは何を食べているのかを探ることから始めてみるのと良い。
観察したら優しくリリースを
最後になるが、シーバスのエサとなるベイトはどれも弱い。アミでもバチでも針に刺さると弱り果ててしまう。寒さや汚染に強いイナッコも、釣り上げると元気がなくなってしまうのだ。
釣るための観察は重要だが、ぜひ優しい気持ちで「リリース」してほしい。そうすれば、いつかそのベイトがシーバスをあなたの元に連れて来てくれるかもしれないのだから。
<宮坂剛志/TSURINEWSライター>