都心からアクセスがよく人気の観光地である箱根。神奈川県南西部に位置し、古くからの温泉町であり、江戸時代には箱根関所が置かれた。その中心部に位置するのが箱根連山に囲まれた芦ノ湖だ。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版APC・藤崎信也)
芦ノ湖のワカサギ釣り
正月に開催される箱根駅伝の折り返し点としても知られている。釣りの人気も高く、国内で初めてブラックバスが放流された地である。明治期からホンマス、イワナ、ヒメマス、ニジマスなどが試験放流及び移入されている。
ワカサギは、大正7年に茨城県の霞ヶ浦から種卵を移植されており、現在では『箱根町の魚』に制定されているほか採卵事業もおこなわれ、全国各地に出荷されている。また、10月1日には刺し網漁が解禁され、その初物は箱根神社に奉納され、宮内庁に献上されている。
芦ノ湖が一般の釣り人に開放されている期間は、3月2日から12月14日まで。そのため、ワカサギ釣りはほかの釣り場と異なって初夏に始まり「夏ワカサギ」として人気がある。早い年では6月中旬、遅い年でも7月中旬から釣れ始める。
ボートで探ろう
芦ノ湖のワカサギ釣りは湖尻湾から釣れ始め、箱根園、箱根湾、元箱根湾と釣り場が広がっていくのが例年の傾向だ。そのほか、九頭龍沖、樹木園、立岩湾、白浜、コベリの浜での実績が高い。
釣り舟を提供するボート店は、箱根湾、元箱根湾、桃源台にある。元箱根や桃源台からもっとも遠い箱根園までローボートで1時間ほどなので、船舶免許がない人でも湖全体をカバーできる。
今年の5月下旬に大島周辺で私が試釣した際には、1時間で6~10cmを22尾。それ以降、6月下旬ごろから湖尻湾の桃源台ボート店前で釣れ始め、7月中旬には箱根園、同下旬には箱根湾でも釣れだした。九頭龍沖でも好調のようだ。
今年は魚影が濃い
今年はワカサギの魚影が非常に濃く、トップ釣果は一日2kg超が出ている。一方でサイズが4~12cmとバラバラ。群れによってサイズが異なる例年とは違い、交じって釣れてくるのが今年の特徴だ。
9月上旬の時点で安定して釣れているのが、桃源台沖、箱根湾、九頭龍沖の3カ所。日によって釣れる場所は異なるが、水深12~18mほどのポイント。浅い場所ほどサイズがいい釣況だがウグイなどが多く、深場のほうがトラブルは少ない。また、9月下旬には産卵のためにヒメマスの接岸が始まる。桃源台や蛭川などインレットのある場所では、ワカサギの仕掛けにヒメマスが食ってくることが多くなるので注意が必要だ。
タックルとエサ
芦ノ湖でのワカサギ釣りのタックルは、手巻きリール竿派が8割、電動リール派が2割。水深があるので、電動リールのほうが手返しがよく数釣りには向いているものの、フィッシュイーターが多いため、それらに対応するために手巻きリールが主流となっている。
仕掛けは、各ボート店に芦ノ湖スペシャルの仕掛けが販売されているので、初心者はこれを購入するといい。太仕掛けになっているので、ブラックバスやマスなどにも対応しやすい。
基本的には、袖バリ2~3号の7~10本仕掛け。金袖が一般的だが、天候によっては白袖も有効。水深があるのでオモリは3号以上が望ましい。
夏場は空バリで十分だが、秋口になるとエサを付けたほうが食いはいい。エサは赤虫と紅サシが多いが、私は白サシを使用している。赤虫はもっとも有効だが、エサ付けが面倒でエサ持ちが短い欠点がある。紅サシはヒメマスが食ってくる可能性がかなり高い。
多い日には一日15尾を超えることもあり、そのたびに仕掛けはぐちゃぐちゃで張り替えを余儀なくされる。サシは尻側からハリに刺して頭をカット、釣況によりハーフカットとすることで釣果アップにつながる。
食味は絶品
芦ノ湖でワカサギ釣りをする際には、必ず氷の入ったクーラーを持ち込もう。同湖のワカサギは泥を吐かせる必要はないので、活かしておく必要はない。生きているうちに冷凍袋などに入れてクーラーに入れよう。持ち帰った際の鮮度がまったく違う。
同湖のワカサギは、関東地方ではトップクラスの美味さだ。それを維持するには、釣れたあとの処理は手早くおこなおう。臭みがなく美味しく食べられる。
<週刊つりニュース関東版APC・藤崎信也/TSURINEWS編>
芦ノ湖
この記事は『週刊つりニュース関東版』2024年10月4日号に掲載された記事を再編集したものになります。