魚の中には「ウサギに似ている」ことから名前がつけられたものが少なからずあります。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
日本最大のアイナメ「ウサギアイナメ」
東北日本に多く生息し、食用魚として愛されるアイナメ。北に行けば行くほど生息数が増え、種類が多くなります。
とくに北海道では、ホッケを含む7種類ものアイナメ科の魚が生息しており、様々な釣りや漁で顔を出す存在です。そんな中でも「北海道にしかいない」アイナメとして知られるのがウサギアイナメ。
ウサギアイナメは顔つきが柔らかく、ウサギのそれのように見えることから名付けられました。日本に生息するアイナメの中で最も大きくなり、70cmを超えます。ただしこの魚がレアなのはあくまで日本国内における話で、世界的に見ればアイナメよりもメジャーな存在だそうです。
ウサギと呼ばれるサメ
和名ではありませんが「ウサギ」「ウサギザメ」という地方名で呼ばれるサメがいます。それはギンザメ。
ギンザメは深海に生息する軟骨魚類の一種で、ホホジロザメやシュモクザメなどの一般的なサメとはグループが異なります。宇宙生物を連想させる独特の見た目が特徴的です。
その顔も一般的なサメとは全く異なり、口が小さくて目が大きく、愛らしい見た目をしています。頭部の後ろに伸びた背びれも相まって、確かにウサギのように見えなくもないです。
「ラビットフィッシュ」と呼ばれる魚とは
ウサギと名付けられた魚は、日本だけではなく海外にもいます。その代表格が「ラビットフィッシュ」ことアイゴ。
アイゴは本州北部以南に生息し、アイゴ類では最も北に生息しています。尾鰭と胸鰭以外の鰭に鋭い毒棘を持ち、危険な魚として恐れられていますが、顔だけを見るとたしかにコケティッシュです。
丸みがある顔と目玉のシルエットに、上顎が少し前に出た出っ歯のようなおちょぼ口は確かにウサギのように見えます。扱うときはついつい毒棘にばかり注意がいってしまいますが、チャンスが有れば是非顔を観察してみてください。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>