釣りが好きで大学院で魚の研究をしていた筆者が、自由研究のテーマを提案します。内容は「釣った魚が何を食べているかを調べる」というもので、魚の胃内容物を調査することで、釣り餌と自然の餌の割合を分析し、魚の食性を探ることが主な目的です。今回は、初心者でも取り組める簡単な手順と考察のポイントを丁寧に説明しています。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・松田正記)
私の経歴
私は学生時代、地理学を専攻していました。大学2年生の時、「大好きな釣りを研究テーマにできる」と指導教授に教えていただいたことがきっかけで、釣りにも研究にも熱中するようになり、大学院まで進学。当時は外来種の魚の食性を調査・分析し、生態系への影響を評価していました。卒業論文は優秀論文に選ばれ、その年の地理学関係の学会で成果を発表する機会をいただいたこともあります。
大学院では琵琶湖での研究を行い、琵琶湖博物館の学芸員の方に指導していただき、また漁師さんにもご協力をいただき、定置網漁で漁獲された外来種の魚の食性を調査・分析していました。現在は研究とは少し離れた仕事に就いていますが、釣りが好きということは変わりなく、現在も気になることがあれば調べる日々を送っています。この経験を基に、私が考える自由研究のテーマをご紹介いたします。
釣った魚が何を食べているか
食は生物全てに共通する生命維持のための最も重要な活動です。つまり、魚が何を食べているかを知ることは、どうすれば魚を多く釣れるかにつながります。
すなわち、魚の生態を知り、さらに多くの魚を釣るという二つの目的を達成できるのです。調査に供した魚は美味しくいただくという意味でも、食べられる魚を選ぶと良いでしょう。
対象魚としては、誰でも簡単に釣れる魚を選ぶことで、データを多く収集できる点がポイントです。また、どこでも釣れる魚であることも重要です。特に夏のシーズンには、海ではアジやイワシ類が最適です。淡水では地域が限られますが、琵琶湖のコアユも面白い対象となるでしょう。
研究の目的と方法
次に研究の目的ですが、魚が自然の餌を多く食べているのか、それとも釣り餌を狙って食べているのかを調べます。調査結果から、自然の餌より釣り餌が多ければ、釣り餌を好んでいることがわかり、逆に自然の餌が多ければ、偶然釣り餌を見つけて食べたことがわかります。
研究方法としては、まず釣った魚の体長(尾鰭まで)と全長(尾鰭を含む)を計測。次に胃内容物を調べます。食べる場合は、魚を捌いた際に胃から出てくるものをキッチンペーパーなどに置いて確認します。
この際、使っていた餌が多く出てくるのか、プランクトンや小魚が多いのかを大まかに数えてみてください。たとえば、オキアミの破片や個体が何個、オキアミ以外の小魚が何個、プランクトンのようなものが何個といった具合にまとめます。最後に胃から出てきた内容物の全体の個数とそれぞれの個数を計算し、割合を出していくのです。