我が国で最もよく知られるウミガメであるアカウミガメ・アオウミガメ。どちらも食用にされていることをご存知でしょうか。
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ウミガメの名前の由来
外海に棲息し、広い海を回遊するカメ・ウミガメ。非常に大きなカメで、産卵の際に浜辺に上がってくることなどの生態は広く知られています。
我が国の沿岸でよく見られるカメは「アカウミガメ」と「アオウミガメ」で、この2種は飛び抜けて知名度が高くなっています。しかしなぜ、この二つのカメがこのように呼ばれているのかを知っている人はあまり多くないようです。
アカウミガメの名前は、その外見が赤みがかっていることから名付けられており、分かりやすいです。しかしではアオウミガメの見た目が青いかと言うと、決してそんなことはありません。
実はアオウミガメが青いのは外見ではなく「脂肪」であり、アオウミガメの名は脂肪の色にちなんで付けられたのです。
ウミガメは食用にされてきた
解体しないとわからない「脂肪の色」がその名の由来になっていることからもわかるように、ウミガメはかつては広く食用にされてきました。島で手に入る貴重な獣肉だったこともあり、大洋の島嶼部では食文化が最近で残っていました。
いまでも、小笠原諸島や伊豆諸島南部では、ウミガメが食用のために捕獲されており、食べることができます。ただし現在ではウミガメ類は世界的に保護されており、一般人が勝手に捕獲することはできません。これらの島々では、食文化を守るための特別な許可を受けて、頭数規制のうえで捕獲されています。
どちらが美味しい?
アカウミガメとアオウミガメはいずれも食用にされています。となると気になるのは「どちらがより美味しい」か。
どちらも食べたことがあると言う人の話を聞くと、概ね「アオウミガメの方が美味しかった」という感想が多いようです。筆者はアカウミガメしか食べたことがないのですが、味そのものは悪くないものの全体になんとも言えない強い臭いがあり、食べる人を選ぶな…と感じました。
アカウミガメとアオウミガメは食性が異なることが知られており、前者は肉食性の強い雑食性、後者は藻食性なのだそうです。生き物の味は食べているものに由来すると言われており、両者の味の差もそこに拠るのかもしれません。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>