毒があっても美味しく食べられるウニたち 棘に毒があっても可食部は無毒

毒があっても美味しく食べられるウニたち 棘に毒があっても可食部は無毒

高級食材として知られるウニですが、その仲間には毒を持つものも多くあります。しかしまた「有毒だけど美味しいウニ」も少なからずいることをご存知でしょうか。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

アバター画像 TSURINEWS編集部

サカナ研究所 その他

世界中で愛されるウニ

寿司や海鮮丼の材料として人気の高い高級食材・ウニ。生きているときの見た目のファンキーさから「初めてウニが食べられると気づいた人はすごい」なんて言われることもありますが、実は世界中で食べられている人気の食材です。

毒があっても美味しく食べられるウニたち 棘に毒があっても可食部は無毒ウニの卵巣(提供:PhotoAC)

たとえは地中海沿岸、イタリアやフランスなどでウニは大変人気の食材です。主にパスタに用いられ、ソースにコクを与える役割を持ちます。また生食されることもあり、バターを塗ったバゲットに乗せて食べるとなかなか美味です。

また、太平洋岸の国であるニュージーランドやペルー、チリでもウニは消費されています。特にチリやペルーではセビーチェという伝統的な魚料理で生食されているといいます。

日本で食用にされるウニたち

とはいえ、世界で最もウニを愛する国はやはり日本。世界のウニ生産量のうち8割にあたる6万tが日本で消費されており、実に様々な種類が日本の魚市場で流通しています。

最も人気が高いのはエゾバフンウニとキタムラサキウニ。前者が北海道、後者は東北地方で水揚げの多いウニで、いずれも濃厚でコクのある味わいが魅力です。

毒があっても美味しく食べられるウニたち 棘に毒があっても可食部は無毒キタムラサキウニ(提供:PhotoAC)

これ以外に普通のバフンウニやムラサキウニも各地で水揚げされており、ややさっぱりした味わいが身上です。そのほか先述のチリやニュージーランド、またアメリカやロシアから現地の品種が輸入されており、国産よりも安価に流通しています。

毒があっても食べられる!?

しかし世界一のウニ消費大国である我が国で食べられているウニはそれだけではありません。なんと「有毒なウニ」も各地で水揚げされ、食べられています。

毒があっても美味しく食べられるウニたち 棘に毒があっても可食部は無毒シラヒゲウニ(提供:PhotoAC)

有名なのがシラヒゲウニ。食用ウニの中ではやや珍しいと言える南方系のウニなのですが、このシラヒゲウニは棘に弱毒を持ち、素手で触ると刺されて痛い思いをします。食用部である生殖巣には毒はなく、濃厚な味わいで美味しいのですが、加工の際に棘が混ざってしまうと食べたときに口が痛くなってしまうので注意が必要です。

また、全国的に「毒ウニ」として高い知名度を誇るガンガゼも、生殖巣は食用になります。普通のウニと比べてやや味が薄くエグみがあるので、蒸し雲丹などの加工料理にすると美味しく食べられます。

他にも、最近生息域が北上している「ラッパウニ」というウニも棘に強毒がありますが、こちらもまた濃厚で美味な生殖巣を持っています。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>