「靴になんらかの不満がない人間はいない」というのが筆者の持論だ。私は日常履きの靴も終わることのない旅のように「完璧」を探し求めている。それがライフワークである釣りであれば一種究極のテーマ。このシーズンオフは100以上の靴を検討し、ついに1足に決めた釣り靴探しの記録を紹介したい。「靴だけが……」と悩んでいる方も参考にしてほしい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
釣りの靴に何を選ぶか?
多くのアングラーが、まずは釣りメーカーの靴を、と考えるだろう。そこで幸運な出会いがあれば話は終わる。しかし私のようにデザインや履き心地面から、まったくそっちとはソリが合わないややこしい人間もいる。
実用面から言っても、餅は餅屋である。靴は靴のメーカーがいいに決まっている。たとえば、靴の会社が作ったスピニングリールを誰が使うだろう?
私もメーカー靴を試したことはある。しかしあいにく私は足が29cmと大きく、サイズの問題が出てくる。釣りメーカーの靴はハーフサイズの展開がなかったりして、寸足らずのときには困らせてくれる。ならば、繰り返しになるが餅は餅屋。釣り靴は靴屋、なのである。
格安商品からメーカー品までチェック
アウトドアのメーカー品にも同様のことがいえる。靴に関して餅屋、とはならない。
労働者のための靴
意外に人気があるのが労働者のためのメーカーで、W社のゴム製防水シューズは釣り場の足元でよく見かける。私もこれを合計5年くらい履いていた。インソールはペラペラだがNB社のものに換えれば一級品。全ゴム製のために防水性能も高いが、蒸れるのが弱点。
ランニングシューズ
そのあとは迷い歩きながらあらゆるシューズを試したが、ふと職場の内履きを買うために訪れたN社で「おっ」という新感覚がきた。ランニングシューズだ。かなりグリップが強く、おまけにそのときはセールで安かった。これも3年弱夏場に使った。ただ、最近は歩く釣りが多くなったので、むくみで履けなくなる。私自身の足が大きくなったこともある。
正直に言ってしまうと、このへんでキリをつけてファイナルアンサーとする手もあった。むくむならばハーフサイズ上げて買いなおせばいいのだ。私は信条として消波ブロックは滅多やたらと乗らないことにしており、足場の良いところでしか釣りをしない。が、舗装された良い足場で靴をごつくすると、そっちの方が何か要らぬ重量感で歩きを失敗しかねない。
しかし気になるのが防水性だ。靴は濡れてしまうと気持ち悪い――。
防水性と軽量化に狙いを絞る
ということで、防水性と軽量化をテーマとした靴探しを始めた。その期間、約半年。自身が入院を経験して注意深い性格になったせいもあるだろう。そのまま転倒や水中への転落への危険になりかねない、最大の危険因子である靴に関しては妥協できない。
防水性、従来と比べての軽量化。グリップ性能も頭に入れて、靴探しの彷徨が始まった。いろいろと試したが、決着したのはごく最近。ご存知のように「GORE-TEX」という機能(防水と透湿性と軽量感)を備えた、A社の靴だ。価格もミラクルのような安さで手に入った。
実はこれ、「トレイルシューズ」である。登山用。中でも低登山用で、すなわち足場が凶悪なところにはいかない、カジュアルな山登りのための靴。釣りとの親和性が非常に高い。
自信の経験から、釣りの靴選びには、1足でいこうと思うならば機能性の高い「トレイルシューズ」、夏場も含めるならばグリップの効く「ランニングシューズ」をおすすめする。
専用靴は必ず準備
以上、釣り靴の探し方について語ってきた。これくらい真剣に向き合って選べば、かなり快適に釣りができる上、釣り場での足元の危険も低減できるだろう。ただ、これはあくまで陸っぱりの釣りに限ったことだ。
磯場やぬめりテトラなどは話が変わってくる。荒い足場を踏むときには、スパイク等の専用靴が必要となる。むろんライフジャケットも欠かせない。
<井上海生/TSURINEWSライター>