春のアジングは容易い釣りではない。そもそも回遊があるかどうか、何よりその根本の部分が保証されない。魚の群れも二種いる。回遊と、居着きだ。回遊がなくても居着きを釣ることはできるし、回遊があれば二種釣れる。うまく立ち回って、二種釣るためのコツとは?
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
春アジングの魚を二種知る
都市部の群れで、春アジの種類の違いは顕著である。朝マヅメや夕マヅメに釣れる回遊のアジと、その場に着いた居着きの魚だ。回遊の魚は背や口の中が黒っぽい「セグロ」といわれる種類で、サイズは大きいが体高はあまりなく、筋肉質な身体をしている。
もう一方の居着きは、沿岸を多少回遊はするが、ほとんどは同じような海域で暮らす。プランクトンを食べまくるためによく肥えて、その場の水色や砂の色に影響を受けて金色っぽい体色を帯びるのが特徴的だ。
春は回遊も居着きも産卵を迎えるので、うまく場所を特定できれば良型を仕留められるチャンスもある。個人的な思い出話になるが、かつて筆者が夜通しアジが釣っていたのも思えば春のアジだ。そのように、秋や初冬と比べてアタリハズレの差が大きい時期でもある。
絶対に回遊狙いスタート
アジは目が利く。日中はワームを見切って、夜からルアーに反応する魚なので、スタートは必ず活性が上がってくる夕刻からだ。回遊のタイミングはマヅメから、日没後1時間くらい。遅いタイミングからアタり始めることもあるので、まずはキープキャスティングだ。
この時間は、回遊の群れから狙っていく。卵持ちが産卵の体力チャージのために、あるいはその他の群れが捕食のために沿岸に入るときには、多少重めのリグを投げて上下にシェイクする。リアクション気味に食わせるのがコツだ。参考までに、ヘッドウェイトは1.5g~2gくらい。ワームは2inchをメインに最大3inchまで大きくして、とにかく魚に見つけてもらうことを意識する。
「魚が何を食っているか」と想像するのではなく、そうして大振りに見せるアジングで反応する魚がいるか、と考えて釣る。それで釣れなければ、場所が間違っているか、そもそも回遊がないのだと割り切る。春のアジは本当に回遊がないことも多々あるので、仕方ない。
プランクトンパターンにチェンジ
日没後1時間までが、春の回遊アジが食ってくるタイミングだ。もう少し早めに見切ってもいいが、常夜灯が効き始めるのが1時間後なのと、その他の群れがプランクトンパターンになるのも結局1時間後くらいなので、居着きが反応するのもそのタイミングなのだ。
回遊がないからと言ってあきらめてしまうのではなく、この「間(ま)」の時間を辛抱強く待って、次の群れの釣果をいいものにしよう。常夜灯があればその下で、なくても何かアジが溜まる条件を見つけてしまえば、軽量リグに反応するプランクトンパターンの居着きの方が釣りやすい。春は水温が高くなってアジが動き出す時期で、冬の低活性の釣りとはワケが違う。密度の濃い群れを見つければ、アタリが出る。あとはそれをどうやって釣るか。
風と壁際パターンを頭に入れる
居着きのアジを釣る上でもっとも大事なのは場所の選定だ。そして場所を見つけるためには、潮の流れもそうだが、風の動きを見ることも重要だ。春は多くの場所で偏西風が吹くことになるので、西の風が吹いていく先で、プランクトンが風に押し流されて滞留する。そこにプランクトンの捕食者であるアジが着く。釣り場によっては、そこが足元になる。よっていわゆる「壁パターン」も意識して、自らの足元をうまく釣っていかなければならない。
足元はアタリが出る場所から角度をつけて釣ってやればいい。少し離れた場所からキャストして、やりとりする。そうすればうまくドラグが効いて、アタリを吸収しやすくなる。
回遊と居着き、二種の性質の違いを知って、春のアジを釣ってやろう。究極に簡潔な言い方をすれば、「ジグヘッドを重めから軽めに」の変化で釣りわけられるので、それでもいい。
<井上海生/TSURINEWSライター>