第37回のテーマは「野でダンゴの底釣り芯華単品!」。上っ調子なら浅場を狙えばいい。そう感じた吉田は、手前の見える魚を8尺竿で狙い始める。大胆奇抜な発想だが、これが正解への近道だった。
(アイキャッチ画像提供:週刊へらニュース編集部 関口)
短竿で浅いラインを狙う
移動後もしばらく苦戦が続いた吉田。真剣にウキを見つめているのかと思ったら、どうやら手前でチラチラ見える魚影が気になって仕方がないらしい。
「手前に魚が見えはじめましたね。しかも下を向いているヤツもいますよね。エサが丸見えだけど狙ってみようかな」
何とも大胆なチャレンジだが、実はこれが通用することを記者は知っていた。いつもとは限らないが、とくに夕方は竿8尺以下でガンガンアタってくることもある。これほど早い時間帯に試したことはないが、吉田がやってくれると言うなら今後の参考にもなろうというものだ。
「イチかバチかやってみます!」
そう言って継ぎ直した竿は紅月8尺。タチは一気に浅くなり1本強となった。釣り方は当然だが底釣りで、エサはもちろん芯華単品。
サクッと底ダテを済ませ第一投。すると投入から約1分足らずで、散っていたヘラたちがエサの近くに寄ってきた。そしてエサが見えなくなったと思った瞬間にカチッ。
間違いなく食ったと思えたアタリだったが、見事なカラツン。すかさず次投を入れると、今度はエサに見向きもしない。続けて打ち込むが、ハリスが見えているのかエサの近くを避けて通るようになってしまった。
素早い切り替え
そこでハリス切れ覚悟で0.6号から0.5号にチェンジ。わずかコンマ1の差だが、以降はパツパツ落とすようになったのには、見ていた記者も驚きを隠せなかった。カラツンも多いが、これだけアタるなら竿15尺よりも効率はいい。
吉田の美点は、これらを間髪入れずに行動に移れる点だろう。普通ならちょっと様子をみてからとなりそうだが、吉田は迷わない。たんにせっかちなのか(笑)。
「それでたとえ失敗したとしても、エサや竿替えと違ってラインセッティングならすぐ元に戻せますから」
8尺竿でひとしきり釣りきってしまったのか、それとも見切られだしたのだろうか。あからさまにアタリが減ったと感じると、今度は同じ紅月の10.5尺竿を継ぎ、エサが見えないラインを狙い始める吉田。
すると、これが当日の正解ラインだったようで、カラツンをもらいながらも、ほぼ毎投決めアタリでフィニッシュできるようになった。
「でも8尺のほうが型がいいですね。10.5尺ではガサベラが交じってきますから」
やっぱ気づいた?ここは手前に寄ってくる魚ほど良型が多いんだよ。あとさっきは黙ってたんだけど、夕方はもっと短めの竿でもアタってくるんだよ。しかも決まってそういう魚はデカい!
「なーんだ、知ってるなら教えてくださいよ。やはり関口さんはイジワルだ(笑)」
単品エサは手直しが簡単
でもダンゴの底釣り芯華単品でも十分釣れるようになったね。
「そうなんです。あと単品エサの利点として、手直しが簡単なのと迷いが生じない点ですね」
たとえばどんな手直しをしてるの?
「手直しというよりも少量ずつ作ることが簡単なのでいいですね。たんに手水を打って粉を足せば、すぐに量を復活させられますから」
なるほどね。ブレンドエサではできない効果的な小技だね。
「それに、もともと単品で使えるエサなので関口さんから企画テーマを頂いた時は、正直ラッキーと思ったくらいですから(笑)」
うーん…ちょっと縛りが優しすぎたか。せめてダンゴの底釣り夏縛りとかにしておけばよかったかな。
「それならそれで何とかしますけど!」
おっと、言ったな。じゃあ次はもっと手厳しいテーマで挑んでもらおうか。なお記者は15時すぎに帰宅させてもらったが吉田はその後も真っ暗になるまでエサ打ちを続けたらしい。もちろん夕方は8尺竿メインで。釣果は30~40cmが計40枚前後だったそうだ。
次回は「流れ川で宙のヒゲセット」です。
<週刊へらニュース編集部 関口/TSURINEWS編>
田貫湖
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