夏の終わりから冬にかけて、大阪湾の波止を熱くするターゲットがタチウオ。いよいよ開幕ということで、大阪湾タチウオ釣りシーズンについて解説しよう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター谷口墨人)
タチウオってどんな魚?
タチウオはサバ亜目タチウオ科に属する魚で、大阪湾で釣れるのは本タチウオという浅海性の魚だ。タチウオ科の魚類は、世界で47種類ほど確認されている。日本近海では、本タチウオ、テンジクタチ、オキナワオオタチが釣りで狙える。
昼間は砂泥底の沖の深みに身を潜め、夕方から夜になると、浮上して小魚を追って盛んに摂餌するフイッシュイーターだ。歯は鋭く、触れただけで、スパッと切れるので、魚ハサミなどを使って扱いに注意する必要がある。
名前の由来には、立ち泳ぎするから「立ち魚」という説と、太刀に似ているから「太刀魚」という説がある。九州では、その姿から、サーベルとも呼ばれる。
釣り物としてのタチウオ
タチウオは、これから初冬にかけて大阪湾の波止の浅場に接岸し、われわれ釣り人を大いに楽しませてくれる魚。朝夕のマヅメに特に活性が高く、釣果はほとんどこの時間帯に上がることが多い。マヅメ狙い撃ちの短時間釣行でも楽しめるとあって、仕事の前や後に波止へ通うサラリーマンもいるとか。
また、くせのない白身で食味も抜群だから、塩焼き、煮付け、天ぷらなど、様々な料理に調理でき、多彩な食味が楽しめるのも魅力。特に、釣りたての新鮮なタチウオの刺し身はまさしく「釣り人の特権」である。
このように、釣ってよし食べてよしのタチウオは、何の前触れもなく、突然波止から釣れ始める。そして、数日釣れ盛ったと思えば、ある日突然釣れなくなり、姿を消すことも。まさに、神出鬼没、別名、幽霊魚と呼ばれている所以だ。
関西のタチウオ釣りシーズン
タチウオは、冬になって海水温が下がると、適水温になる深場におちていき、越冬する。春になり、海水温が上昇してくると、再び接岸してくる。和歌山県の紀北の波止場(和歌山港、海南、下津周辺)では、4月になると紀淡海峡沖で越冬していたタチウオが、イワシや稚アユなどのエサを追って接岸し、春タチウオが釣れ始める。
このころのタチウオは、数は釣れないが型は良く、80~90cmがアベレージサイズ。時にメータークラスも交じる。
7月になると、抱卵した良型と60cmクラスの新子が混じって釣れ始め、数釣りが楽しめる。紀北では年末まで、ムラはあるが釣れ続き釣期はかなり長い。
淡路沖で越冬したタチウオは淡路島の東浦に接岸し、7月から淡路島の波止(洲本、津名周辺)で、60~70cmサイズの夏タチが釣れ始める。東浦では、やはりムラがあるが、年末まで釣れ続ける。
その後、紀北や淡路で釣れていたタチウオが、大阪湾の広域に回遊を始める。紀北や淡路で釣れていたタチウオが、大阪湾の湾奥まで進む回遊は、ベイトを追ってではなく、ほとんどが、潮流の影響であるそうだ。潮に乗って浅場に接岸し、自主的な摂餌の回遊を始める。