平成から令和に移り変わり新たな元号も2年目を迎えた。フグ業界は交雑種という厄介な問題を抱えつつ、フグ処理者の認定基準の統一化を開始という大きな動きがあった。今回は、厚生労働省、水産大学校へのインタビューを行い、交雑種の危険性や、処理資格統一化の概要などを説明してもらった。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWS編集部 四家)
フグ中毒での死亡事故が発生
2019年12月1日、広島県呉市に住む70代の男性が自分で釣った「コモンフグ」を調理して食べた後、中毒症状が現れ医療機関に入院。12月6日未明、フグ中毒で死亡した。フグ中毒による死亡事故は数年ぶり。
フグによる食中毒自体は年間30件前後で推移している。食中毒者の9割以上が無資格調理の釣り人やその家族など。有資格者による事故は特例を除き発生していない。
フグ交雑種増加でリスクアップ
近年、急激にほかの種類のフグ同士が掛け合わさって生まれる交雑種が増加傾向にある。
フグの交雑種に詳しい水産大学校・生物生産科の高橋洋准教授によると、「海水温上昇が原因で、生息域の異なるゴマフグが移動し、以前はほとんど見ることがなかった交雑が急に増加した。2013~2014年には、茨城県の海域でゴマフグ×ショウサイフグが漁獲の4割になるなど異常なこともあった。現在、茨城県では落ち着いたが、岩手~宮城県で増加傾向にあり、水揚げのうち2割ほどが交雑種」という。
また、マフグとトラフグが交雑する場合もあるがこちらは稀であり、まだ詳細や海水温が影響しているかは不明とのこと。
交雑したフグは、毒の部位がどこにあるのか確定しておらず、市場に出せないため漁獲されても交雑種はすべて破棄される。交雑種が増えた場合、可食種の値段上昇や、既存の種類が絶滅してしまう可能性もある。
フグの扱いには専門資格が必要
フグには少量で死に至る強力な毒を含んだ部位があるのは有名だろう。それに加えフグの種類によって可食部位が異なるため、適切に処理・選別して提供するには専門知識が必要とされる。日本では古くから食されていたが、食中毒者が絶えなかったこともあり、一時期は食べることを禁止されていた歴史もある。
そこで、現在は処理されていないフグを調理し他人へ提供する人には資格取得が義務付けられている。
毒についての詳しい説明は『フグに「毒」がある理由と生成メカニズム 無毒の養殖モノの方が凶暴?』を参照。