平成から令和に移り変わり新たな元号も2年目を迎えた。フグ業界は交雑種という厄介な問題を抱えつつ、フグ処理者の認定基準の統一化を開始という大きな動きがあった。今回は、厚生労働省、水産大学校へのインタビューを行い、交雑種の危険性や、処理資格統一化の概要などを説明してもらった。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWS編集部 四家)
資格認定基準がバラバラ?
食品衛生法第6条第2号には、「販売目的や不特定もしくは多数に、有毒や有害物質そのものもしくは含まれたものを配る前提で調理などをしてはいけない。ただし、人の健康を損なうおそれがない場合で、厚生労働大臣が定めた物を除く」とあるが、処理免許取得者が捌いたフグが厚生労働大臣が定めた物に含まれる。
(出典:厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=78330000&dataType=0&pageNo=1)
法律とは日本国内で適用されるものだが、実はフグ処理免許は国家資格ではない。各都道府県の条例に基づいて発行されており、都道府県により、ルールはバラバラなのが現状だ。
必要な(飲食店などでの)フグ取り扱い年数や調理師免許の有無、試験か講習か、その内容や難易度、名称自体も異なっている。
しかし、このような運用となった背景には、様々な要因がある。
石川県のような地元で漁獲を行い地元よりほか地域に販売を行う場所、東京のように漁獲はしないが飲食店で取り扱いが多い場所とではそれぞれ扱う魚種の幅など必要な知識が異なる。
また、岩手~宮城県の一部海域で取れるコモンフグを例に挙げると、コモンフグの生息地によっては、可食部位が変わってしまい、A県では筋肉(身)は食べられるが、B県では毒が含まれるといった現状がある。またそれに加え、水揚げされるフグの種類も都道府県で大きく異なり独自性が高いため、ルールを統一化することが難しいとされていた。
厚生労働省主導で統一化することに
2019年、厚生労働省が主導して「フグ処理者の認定基準に関する検討会」が開かれた。計3回の検討会の末、同年10月31日にフグ処理者の認定基準統一化の方針が示された。
統一化が実現すれば、フグ調理師は都道府県をまたいでも、試験などを受け直す必要がなくなる。全国で統一された基準を定めることにより、海外から見たフグの安全面での不安を払拭することにもつながる。2020年1月現在、シンガポール、マレーシア、香港、台湾、アメリカ、ロシアの6ヶ国には少量が輸出されている程度だが、日本のフグ文化をうまく発信することができれば、輸出量増加や販路拡大が見込まれる。
厚生労働省の担当者は基準統一化について、「今年度から令和3年度(2019~2022年3月)の期間中に基準を統一したいと各県には通達済み」と説明する。
そんなフグだが、実は釣り人からすると人気ターゲットの一つで、フグを専門に狙う釣り船も多々ある。釣り船であれば、船長など有資格者が身欠きなど除毒処理をして提供してくれるので無資格の釣り人でも安心して持ち帰ることができる。安全な部位だけを持ち帰るので、余計な生ゴミも出ない。自分で釣ったフグを食べたいのであれば、ぜひ専門の釣り船での釣行をしよう。無資格者は、くれぐれも自分で捌くことは止めよう。
<TSURINEWS編集部/四家>