11月3日、三重・鳥羽本浦で、カカリ釣りの名手・薮邦正さんが企画・協力する「筏かかり釣り講習会」か開催された。折しも鳥羽周辺は、チヌの数釣り真っ盛り。当日は大小入れ交じってアジが猛威をふるう中ではあったが、チヌ数釣りの基本などをみっちりと学べた1日だった。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)
まずはダンゴ作りの基本
3日の講習会は、本浦のなかよし渡船のカセが舞台となり、9人が参加した。早朝、まずは薮さんからカカリ釣りの基本となるダンゴの作り方から説明から始まった。
当日のダンゴ配合
薮さんのダンゴ作りの基本概念は、「いつでも同じ状態のダンゴを作る事ができる」と言う点。当日はベースダンゴとして、三重チヌパール1箱(12kg)に濁りオカラ1袋(5kg)、速戦爆寄せダンゴ1袋(4kg)、荒びきさなぎ(徳用)1袋(2kg)を混ぜ合わせたものを1日の使用目安とした。
全素材を4等分する訳
これを1度に混ぜると、量が多すぎてきっちりと混ざらない事があるので、藪さんは、これを4等分して混ぜると言う。渡船店に常備されている桶や持参したコンテナを利用して、各素材をきっちりと4等分して計量し混ぜる。そのために、ヘラブナ釣りに使うエサを混ぜるボウルを利用していた。
素材の割合を一定に
この作業をきっちりとする事により、いつでも素材成分の構成が同じになる。いつでも同じ成分のダンゴを使いこなす事ができれば、そこからは水分を増やしたり、握る回数をかえるなどの変化を自ら付ける事ができる。
ここで重要なのは、水分を入れる前にきっちりと成分をムラなく混ぜ合わせる事。しっかりと混ぜ合わせたつもりでも、コンテナや桶の隅っこなど、混ぜ切れていない事も多い。意外と真ん中付近の底に1つの素材が溜まっていたりするので注意が必要とのこと。
水分の投入
ダンゴが混ぜ終わったら、次は水分の投入。ここでもやはり海水を計量して投入する。ダンゴは水分の多少によりかなり硬さなどがかわるので、万が一、水分を入れすぎたとしても、計量していれば、次の作成時には、具体的に数値として水分量を減らす事ができる。
アミエビの使い方
ここで、マゼに使うアミエビを投入する。マゼとはダンゴの成分に混ぜ込む集魚効果の高い素材で、アミエビやオキアミ、サナギミンチなどを使う事が多い。特に朝は早く魚を集めたいので、集魚効果の高いアミエビをあらかじめ混ぜ込んでいく。
アミエビの混ぜ込み方もムラができないように工夫している。ダンゴに混ぜ込む前の海水にアミエビを投入してよく攪拌する事で、アミエビの粒とエキスが混じった海水ができあがる。これをダンゴの上にまんべんなく流し込む事で、アミエビをムラなくダンゴに混ぜることができる。
水を入れたら数分待つ理由
この時にも薮さんの工夫がある。水分を投入してすぐに混ぜると、最初から大きなムラがあるため、均一にしてしまうのにかなりの労力を必要とする。
それを防止するために、薮さんは海水をダンゴの上にかけたらしばらく時間を置くのだと言う。時間にして1、2分だが、この時にダンゴを見ていると、プクプクと泡が沸いてきて、ダンゴの中に自然と浸透しているのが分かる。ある程度待って、水分の溜まりがなくなれば、手での攪拌を開始する。
ダンゴの混ぜ方
攪拌の仕方は、決してダンゴの成分を「練る」のではないと言う事を覚えておこう。桶やコンテナの底からダンゴの成分を持ち上げて上に置くようにすると水分を吸った部分はダマになっている。
要は、このダマになった部分を崩す作業を続ける。ダマになった部分を指を開いた(ジャンケンで言うパーの状態)で、なでるように崩しては、底から成分を持ち上げてくる。
これを繰り返しているうちに、ややしっとりとした使いやすいダンゴができるのだ。練ってしまうとベタベタのダンゴになって、割れがコントロールしにくいダンゴになってしまうので注意が必要だ。あくまでもサラサラが重要。