前回の「釣果で始めるアクアリウム オススメ対象魚3種と釣り方(第2回)」は、釣りと飼育の対象になる魚の生態や釣り方、さらには実際に釣りに出かけた話を書いたが、3回目となる今回は、釣った魚たちを持ち帰り、水槽に投入するまでにやらなければならないことについて紹介していく。
魚の持ち帰り方
さて、魚を釣りに行く際に、準備しておくのが厚手のビニール袋と容量が10L以上あるフタ付きバケツだ。
このバケツは釣った魚を入れるイケスと兼用で、フタが必要なのは、魚が飛び出すのを防ぐためだ。
釣りを終えたらバケツから水ごと魚をビニール袋に移すが、酸欠に弱い魚を持ち帰る場合や、帰路が1時間以上かかるような場合は、携帯酸素ボンベ(アクアリウム専門店で売られている)で、袋の中に酸素を注入してあげよう。
魚が酸欠になるのをかなり抑えることができる。酸素の注入はボンベに付属されたノズルを使い、袋の口を絞り直し、絞った部分を折り返してゴムバンドで止めて完了だ。
仮水槽の準備
魚を持ち帰ったら、飼育用にセットした水槽とは別に、後述する魚のトリートメントを行うための水槽(仮の水槽なので、深さのあるプラスティック製衣装ケースなどで可)と水を用意しよう。
これは魚を釣りに出かける前に行ってもよい。
このとき使用する水は、同じく後述する薬浴で使用するのに適した量(魚の大きさと数により10~30Lぐらい)を用意し、専用の中和剤でカルキの中和処理を行う。
そして、この水槽にも、フィルター(循環装置)を設置しよう。「30~45㎝水槽対応」などの小型の簡易なもので構わないので、これを設置すること。
このフィルターに活性炭が付属されていたら必ず取り除く。
これをやらないと、このあと行う魚のトリートメントで使用する薬の効果がなくなってしまうからだ。
トリートメント用水槽の準備ができたら、持ち帰った魚を袋ごと水槽に入れる。
袋の中の水の温度を、水槽の水の温度に合わせるためだ。
水槽と袋の水量によるが、1~2時間で水温の差は小さくなる。
魚のトリートメント
水温を合わせたら、次に行うのが、トリートメントと呼ばれる検疫と病気の予防作業だ。
自然界から持ち帰った魚は、病気や寄生虫を持っている場合がある。水槽という閉鎖環境にこれらが持ち込まれると猛威を振るい、健康な魚まで感染してしまう。
これを防ぐために、アクアリウム専門店に売られている「魚病薬」を溶かした水に魚を泳がせる薬浴を実施するのだ。
あくまで予防が目的なので、薬の投与量は、病気の場合の規定量の半分でよい。薬浴の期間は1日から7日程度だが、薬の種類によって異なり、用法・容量はパッケージか付属の説明書に記載されている。