前回の「釣果で始めるアクアリウム オススメ対象魚3種と釣り方(第2回)」は、釣りと飼育の対象になる魚の生態や釣り方、さらには実際に釣りに出かけた話を書いたが、3回目となる今回は、釣った魚たちを持ち帰り、水槽に投入するまでにやらなければならないことについて紹介していく。
薬浴の投与量
少し面倒だが、薬浴用の水槽に入れる水の量は、10L単位にすると、後述する薬の投与量を算出しやすい。
魚病薬は、液体タイプだと容器に目盛りが刻んである場合が多く、必要な投与量だけ使用しやすいが、粉末タイプは計量に工夫が必要だ。粉末タイプは30~60Lの水に対する投与量(これも病気の場合の規定量)ごとに袋に分けられ、パッケージに封入されていることが多い。薬浴で使用する水の量がこれより少ない場合は、投与量を自分で算出する必要がある。
また、算出できたとしても、0.1g単位で測れる計量器がなければ、必要な量の薬をぴったり用意できない。
必要分だけ使用する
そこで行うのが、次の方法だ。
まず、適当な容器に水を100mL用意し、この水に袋で小分けされた薬を溶かす。こうして作った高濃度の溶液を、必要な量だけ使用するのだ。
例示すると、袋に60L用の薬が入っており、薬浴に使う水が30Lなら、「水の量は半分、薬は規定量の半分=4分の1」必要なわけだから、100mLの水にひと袋溶かしたら、この水を25mL(用意した溶液の4分の1)だけ使用する。
なお、魚病薬は病原体の種類ごとに適した種類があるが、ここでは詳細は避け、初期の消毒に使用する代表的な薬を商品名で紹介しておく。
a…グリーンFゴールド顆粒(かりゅう)=細菌感染症の薬・黄色いパッケージが目印
b…ニューグリーンF=真菌や病原虫対策の薬・緑のパッケージが目印
これらの薬が入手しやすく、魚の傷の消毒も行えるのでお勧めだ。
どちらを使用するかについては、魚を持ち帰った時点で病気の兆候がなければ、aのみの薬浴でもおおむね大丈夫。
bについては、魚体に水カビが生えているような場合に投与する。このとき、薬の併用はできれば避け、薬ごとに薬浴を行うのが無難だ。なお、どちらの薬も光を受けると薬効が失われるので、段ボールや布で遮光して薬浴を行う。
また、薬剤を溶かした水には色がつき、容器や水槽、衣服に着くと色が取れなくなるので気をつけよう。このほか、薬浴について詳しく知りたい場合は、アクアリウムの専門店で教えてもらおう。
こうして、薬浴水槽と溶剤の準備ができたら、魚たちを薬浴水槽に放つ。
あとは用意した溶剤を必要量、少しずつ水槽に入れればOKだ。
経過の観察
その後は、魚たちが発病しないか、毎日チェックする。
病気を持っていれば、だいたい1週間以内に兆候が現れるので、経過観察は最低1週間は行うようにしよう。
使用する薬の説明書に記された薬浴期間が1週間未満であれば、所定の期間で一度薬浴を終了し、このあとはカルキの中和処理をした水道水で、薬浴期間と合わせて1週間経過するのを待つ。
この間に、魚の身に何も起こらなければ、これでトリートメントは完了だ。さあ、いよいよ飼育の準備も仕上げ段階。
次回はいよいよ飼育管理の話だ。
関連記事
第1回から読む
釣った魚で始めるアクアリウム 飼い易い魚種と必要な準備(第1回)
第2回を読む
非公開: 釣った魚で始めるアクアリウム 魚を求めて実釣編(第2回)
<週刊つりニュース中部版 五井 /TSURINEWS編>